Helicobacter pyloriは現生人類がアフリカで生まれたころからヒトの胃に適応しており、その後、アフリカを出て世界中に広がった人類とともに旅をしてきた。H.pyloriはおもに垂直感染によって伝播し、宿主である人類集団の系統関係をよく反映するため、H.pyloriの系統関係から人類集団の歴史や移動経路を推測することができる。われわれは従来からH.pyloriの系統解析に用いられているMLST法に加えて、次世代シーケンサーによって得られるゲノムデータを用いて、アジア各地の菌を調べた。これまで沖縄特異的な菌集団を見出したが、それらの菌がどのようにして琉球列島まで至ったのか、その起源を探っている。(著者抄録)