共同研究・競争的資金等の研究課題

2012年 - 2013年

大脳皮質の時期特異的な神経細胞分化におけるDmrtファミリー遺伝子の機能解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
12J08000
体系的課題番号
JP12J08000
配分額
(総額)
1,800,000円
(直接経費)
1,800,000円

哺乳類の大脳皮質は神経細胞の構築から6層構造を呈し、各層には異なった投射パターンや遺伝子発現を持つ興奮性ニューロンが配置されるが、どの層のニューロンになるかという細胞運命の決定は、それぞれのニューロンが産生された時期に依存する。Dmrtファミリーは、特に初期の神経細胞に分化する運命の神経幹細胞に発現が強いことから、大脳皮質神経細胞の時期特異的な分化に関与していると考えられ、それによって大脳皮質の層構造形成や皮質ニューロンの多様性分化にも影響を与えている可能性がある。そこで、大脳皮質においてもっとも早く分化する神経細胞であるカハール・レチウス細胞について詳細に検討した。Dmrta1は大脳皮質原基において、カハール・レチウス細胞を生み出す領域に発現し、Dmrta1ノックアウト(KO)マウスにおいてReelin陽性カハール・レチウス細胞が野生型胚と比較して減少していることを明らかにした。Dmrta1の下流遺伝子を探索するために、野生型およびDmrta1KOマウスのE10.5日胚の終脳を用いてマイクロアレイ解析を行ったところ(n=2)、大脳皮質に発現が認められるdiaphanous homolog 3 (Diap3)、ribonuclease H2 subunit B (Rnaseh2b)、solute carrier family 9 member 3 regulator1 (Slc9a3r1)、cyclin-dependent kinase inhibitor 1C (Cdkn1c ; p57^<KIP2>)の発現量がDmrta1 KOマウスにおいて減少していた。さらにDmrt3がDmrta1と重複して大脳皮質に発現が観察されることから(Kikkawa et al.,2013)、Dmrta1とDmrt3の機能重複によってDmrta1 KO胚において脳発生の異常が明瞭でない可能性がある。そこで理化学研究所発生・再生科学総合センターの松崎文雄グループリーダーとの共同研究により、Dmrt3 KOマウスにおいてもReelin陽性カハール・レチウス細胞の減少が認められるという結果を得た。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-12J08000
ID情報
  • 課題番号 : 12J08000
  • 体系的課題番号 : JP12J08000