MISC

2015年12月

カルシウムシグナリング分子STIM1/Orai1とがん

金沢医科大学雑誌
  • 吉田 純子
  • ,
  • 石橋 隆治
  • ,
  • 益岡 尚由
  • ,
  • 今泉 範子
  • ,
  • 西尾 眞友

40
2-3
開始ページ
69
終了ページ
77
記述言語
日本語
掲載種別
記事・総説・解説・論説等(大学・研究所紀要)
出版者・発行元
金沢医科大学医学会

細胞内カルシウムイオン(Ca2+)は、細胞の増殖、遊走、アポトーシスにおいて必須のセカンドメッセンジャーとして働いている。細胞膜のホスホリパーゼC共役型受容体に刺激が加わると、IP3産生を介して小胞体Ca2+ストアからCa2+が放出され、次いで細胞膜に存在するストア作動性Ca2+チャネル(SOCs)が開き、ストア作動性Ca2+流入(SOCE)と呼ばれる細胞内へのCa2+流入がおこる。細胞内で増加した遊離Ca2+は、直接またはCa2+結合蛋白質と複合体を形成して各種シグナル伝達系の酵素活性や転写活性を制御する。近年、SOCEに関わる分子としてstromal interaction molecule 1(STIM1)とOrai1の2つの分子が同定された。STIM1蛋白質は、小胞体Ca2+ストア内のCa2+濃度低下を感知し、細胞膜SOCsを活性化するチャネルアクティベーターとして働く。Orai1蛋白質は、SOCsの1つであるCa2+放出活性化Ca2+(CRAC)チャネルのポア部分を形成する。Ca2+シグナリングのリモデリングは、がん細胞の増殖、遊走、転移を促進し、がんを進行させる要因となる。本総説では、SOCEのキー分子STIM1/Orai1について、がんの増殖、浸潤、転移、血管新生に関する基礎的および臨床的な報告を概観した。これらの報告は、STIM1/Orai1ががんの進展に深く関与しており、がんの診断や治療標的として極めて重要であることを示唆している。(著者抄録)

リンク情報
URL
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ID情報
  • ISSN : 0385-5759
  • 医中誌Web ID : 2017035443

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