論文

2020年6月

視線計測装置を用いた評価が症状理解に有用であったBalint症候群を呈した脳腫瘍患者一例の介入経験

高次脳機能研究
  • 田畑 阿美
  • ,
  • 谷向 仁
  • ,
  • 上田 敬太
  • ,
  • 山脇 理恵
  • ,
  • 村井 俊哉

40
2
開始ページ
227
終了ページ
234
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本高次脳機能障害学会

今回、脳腫瘍摘出術後にBalint症候群を呈し、視線計測装置を用いた評価が患者と医療者の症状理解に有用であった症例を経験した。症例は、40代右利き男性で、再発脳室内髄膜腫摘出術後に、右同名半盲、複視、Balint症候群、視空間認知機能障害、健忘を認めた。日常生活上の問題点として、文字を読み飛ばす、他者が指さした対象物を見つけられないなどの症状を認めた。そこで、視線計測装置Gazefinderを用いて、視覚性課題遂行時の視線計測を実施した。その結果、日常生活上の問題点の多くは、視野障害に対する代償手段の未獲得に加えて、固視点の動揺、眼球運動速度および衝動性眼球運動の正確性の低下、両側視空間内における注意のシフト困難が原因と考えられた。Balint症候群に対するリハビリテーションでは、眼球運動や視覚性注意に対する介入に加えて、患者自身が理解しやすい評価法を用いて疾病教育を行うことが重要であると考えられる。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1348-4818
  • eISSN : 1880-6554
  • 医中誌Web ID : 2020309961

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