共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

実験・理論の融合による溶液中における分子集合体の高次構造解析手法の確立

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究(B)  若手研究(B)

課題番号
17K14496
体系的課題番号
JP17K14496
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

本研究課題は、超分子をはじめとする分子集合体が溶液中で形成する構造を、実験的手法である小角X線散乱(SAXS)等と、理論的な手法である計算化学的手法(分子動力学法、分子軌道法)等を融合することにより予測する方法の確立を目指している。特に、比較的ソフトな構造であると言われているミセルやリポソームは、主に球状の高次構造をとっており、定まった構造はとっていないと言われていた。しかし、我々の研究成果において、嵩高い置換基を有する界面活性剤がミセル構造をとる場合、それらの会合数が低い条件においては、プラトンの正多面体数と同じ会合数でのみ安定なミセル構造を示すことが示唆された。これらのミセルは「プラトニックミセル」と名付けられ、今まさに構造解析が進められているところである。
平成30年度は、まず前年度に確立した手法を用いてカリックス[4]アレーンの静的構造(初期構造)を作成し、そのモデルを三次元的に複数個配置することでプラトニックミセルモデルを作成し、分子動力学シミュレーション(MD)によりこのミセルのダイナミクスの解析を試みた。MDシミュレーションでは、ある一定の計算ごとに構造の三次元座標を抜き出すことが可能である。そこで、得られる三次元座標から理論的なSAXSプロファイルを作成し、実験的手法にて測定した実際のSAXSプロファイルとの差を、類似度の1つであるJaccard係数を指標として比較を行った。その結果、プラトニックミセルは熱により揺らいでいるものの、ある周期で再度安定なプラトニックミセルの構造に戻ることが示唆された。つまり、一度プラトニックミセルを形成することができれば、その後は安定に存在すると言える。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K14496
ID情報
  • 課題番号 : 17K14496
  • 体系的課題番号 : JP17K14496