MISC

2019年4月

2年間で10歯を失い、心理的介入が必要であった非歯原性歯痛の一例

日本口腔顔面痛学会雑誌
  • 渡邊 友希
  • ,
  • 佐藤 多美代
  • ,
  • 佐藤 仁
  • ,
  • 船登 雅彦
  • ,
  • 菅沼 岳史

10
1
開始ページ
65
終了ページ
71
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(一社)日本口腔顔面痛学会

症例の概要:74歳の女性で、「頬のあたりがざわざわする。歯を抜いてほしい。」を主訴とした。X-6〜4年、A歯科医院にて14歯の自費治療を受けた後に歯の不快感や痛みを訴えるも、満足の得られる対応ではなかった。X-4〜3年、B歯科医院を受診し、抜髄等の歯科処置を受けるも歯や歯肉の痛みは改善せず、X-3年頃から複数の医療機関にて「歯の痛み→歯内治療→抜歯→他の歯の痛み→歯内治療→抜歯…」が繰り返された。その結果、2年間で計10歯の抜歯を受けるが症状は改善せず、X年に当科に紹介された。当科初診時には左側咬筋から上顎左側第一小臼歯への関連痛と、上下左側第一小臼歯〜第二大臼歯相当部歯肉に動的機械刺激に対してallodyniaを認めた。上顎左側第一小臼歯の非歯原性歯痛、顎関節症咀嚼筋痛障害、上下左側臼歯部の神経障害性疼痛と診断し、認知行動療法を主体とした治療を行った。問題点を1.身体、2.感情、3.認知、4.行動の4つに分けて評価して介入した結果、自発痛は消失し、歯肉のallodyniaはdysesthesiaに改善した。考察:難治性疼痛疾患に対し、身体科としての治療に加えて感情面への配慮や非機能的な認知の修正、疼痛行動・疼痛回避行動への介入など、認知行動モデルに基づく多面的な対応が有効であった。結論:2年間で10歯を抜歯された非歯原性歯痛に対して心理的介入が必要であった症例を経験した。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 1883-308X
  • 医中誌Web ID : T426420010

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