共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

水平伝播遺伝子予測システムの開発と環境適応と共進化過程の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K00401
体系的課題番号
JP17K00401
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円
資金種別
競争的資金

生物の進化や環境適応には生物種間での遺伝子の水平伝播が大きな役割を果たしていると考えられている.しかしながら,従来の配列相同性検索では水平伝播遺伝子の検出は限界があり,ゲノム全体における水平伝播遺伝子の全容解明には新規解析手法の開発が求められている.
今年度は,これまで開発してきた水平伝播予測手法のさらなる改良を行った.従来の連続塩基組成のみに着目してゲノム配列断片を生物種別に高精度に分類可能な一括学習型自己組織化マップ(BLSOM)による水平伝播の候補ゲノム領域の検出に加え,近縁種ゲノム間での保存遺伝子の双方向ベストヒット解析を組み合わせる手法を開発した.よりそのゲノムが持つ固有の機能に特化した水平伝播の候補遺伝子検出と由来生物系統の推定が可能となった.南極コケ坊主由来のSphingomonas属細菌2種で評価したところ,水平伝播の由来は大きく異なったが,膜タンパク質など獲得した遺伝子機能に共通性が示唆された.また,アミノ酸組成でも南極株と近縁の他の大陸由来株の遺伝子で差異が認められ,遺伝子の水平伝播に基づく南極細菌の種固有な低温適応戦略の一端を明らかにすることができた.
さらに,真核生物の共生関係解明のための予測システムとして開発したBLSOMを高速化した自己圧縮型BLSOMを用いた予測システムを用いて,植物と微生物の共生関係下における水平伝播遺伝子の検出を行うべく,7種のモデル植物と微生物ゲノムを対象にした解析を行った.その結果,植物ゲノムと共生細菌である全既知微生物で明瞭な分離が見られたが,各植物ゲノムの1%前後のゲノム配列断片が原核生物由来の領域に分類されていた.
今後,植物共生細菌などのさらなる実課題での解析を行い,開発手法の更なる改良と活用を目指す.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K00401
ID情報
  • 課題番号 : 17K00401
  • 体系的課題番号 : JP17K00401