共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

湖底コアのDNA情報から探る宍道湖の水草変遷史

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
18K12574
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

本研究は宍道湖の湖沼堆積物から,水生植物のDNAを抽出することで過去からの水生植物,なかでもかつて宍道湖における優占種であったと考えられる車軸藻類の変遷を明らかにする.
平成30年度の研究目標は,1)堆積物からのDNA抽出可能の検討,2)年代の特定である.なお当初の予定1),2)に加え,船上での堆積物の保存および抽出方法の検討を加えた.堆積物からの環境DNA抽出においては,水からの抽出に比べコンタミネーションによる危険性が高いため,細心の注意を払い,柱状堆積物の切断および,DNAを抽出するまでの保存方法が重要になる.そのため,平成30年度は令和元年に向けて,採取および抽出方法の検討を主として行った.
船上からKK式簡易採泥器を用い約40cmの柱状堆積物を採取した後,船上で2cmに切断し,抽出を行うまで90%エタノールの入った容器に入れ冷蔵保存した.抽出に用いた堆積物はコンタミネーションの影響を最小限にするため,切断した堆積物の中心部のみを抽出に使用した.また,船上で堆積物を切断する際は,採泥に使用した採泥器と同じ内径のアクリルパイプを2cmごとに切断したものを使用した.
DNA抽出は①エタノール沈殿法と,②市販の土壌からのDNA抽出キットを使用した2通りの方法で行った.①エタノール沈殿法は大量の堆積物を扱うためコストを最小限に抑えられる利点があるが,抽出を行ったところ,堆積物中に存在する阻害物質(例えばフミン酸)などにより十分な収量を得ることができないことが分かった.そこで,②市販されている土壌からDNA抽出キットを使用して抽出を行ったところ,十分な収量を得ることに成功した.その後②の方法により抽出したDNAはリアルタイムPCR法により増幅させ,シャジクモのプライマーを用いて検出を行った.しかし,目標としていたシャジクモ属のDNAをシーケンスにより確認することができなかった.

ID情報
  • 課題番号 : 18K12574