2021年4月 - 2022年3月
物質モデルカードによる化学反応式の学習-探索的順次デザインアプローチによる検討-
日本学術振興会 科学研究費助成事業 奨励研究
大野(1963)は,中学生が化学反応式を学習する際に,主として①化学式の意味を理解すること,②原子の数の数え方を理解すること,③3つの化学反応式の規則を理解することに困難があると指摘している。
そこで,植原(2020)は,化学式を十分に理解していることを前提としないモデル(以下,「物質モデルカード」と記す)を考案した。そして,化学反応式を完成させる課題を協働で解決する過程で生起した対話と行為を分析し,物質モデルカードの役割を検討した。その結果,中学生にとって物質モデルカードは取り扱いやすく,物質ごとに決まった化学式があることを意識させたり,グループ内で課題に対するメンバー間の葛藤を生じさせたりすることが示唆された。
本研究では,植原(2020)の結果を踏まえ,物質モデルカードを導入した化学反応式に関する授業を行い,上記①~③を観点として,その効果を明らかにすることを目的とした。まず,大野(1963)の指摘を再検討するため,中学生が化学変化を化学反応式で表す際の困難について調査を行った。
公立中学校の3年生123名を対象に,(1)化学式の意味を理解しているか,(2)原子の数を数えられるか,(3)化学反応式の規則を理解しているか,(4)化学反応式の規則を使用できるか,に関する8つの問で構成された質問紙による調査を実施した。その結果,(1)から(4)の順に正答率は低くなり,(1)でも正答率が5割弱に留まっている問もあった。一方,(4)に正答した者では,(1)~(3)の正答率は概ね8割以上であった。これらより,中学3年生は上記①~③に困難があることや,これらを理解している者は化学反応式の規則を使用できることが示唆された(植原,2021)。
今後の課題として,物質モデルカードを用いた授業を行い,上記①~③を観点に,その効果を検証することが残っている。
そこで,植原(2020)は,化学式を十分に理解していることを前提としないモデル(以下,「物質モデルカード」と記す)を考案した。そして,化学反応式を完成させる課題を協働で解決する過程で生起した対話と行為を分析し,物質モデルカードの役割を検討した。その結果,中学生にとって物質モデルカードは取り扱いやすく,物質ごとに決まった化学式があることを意識させたり,グループ内で課題に対するメンバー間の葛藤を生じさせたりすることが示唆された。
本研究では,植原(2020)の結果を踏まえ,物質モデルカードを導入した化学反応式に関する授業を行い,上記①~③を観点として,その効果を明らかにすることを目的とした。まず,大野(1963)の指摘を再検討するため,中学生が化学変化を化学反応式で表す際の困難について調査を行った。
公立中学校の3年生123名を対象に,(1)化学式の意味を理解しているか,(2)原子の数を数えられるか,(3)化学反応式の規則を理解しているか,(4)化学反応式の規則を使用できるか,に関する8つの問で構成された質問紙による調査を実施した。その結果,(1)から(4)の順に正答率は低くなり,(1)でも正答率が5割弱に留まっている問もあった。一方,(4)に正答した者では,(1)~(3)の正答率は概ね8割以上であった。これらより,中学3年生は上記①~③に困難があることや,これらを理解している者は化学反応式の規則を使用できることが示唆された(植原,2021)。
今後の課題として,物質モデルカードを用いた授業を行い,上記①~③を観点に,その効果を検証することが残っている。
- ID情報
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- 課題番号 : 21H03917
- 体系的課題番号 : JP21H03917
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
2-
理科教育学研究 64(1) 51-62 2023年7月 査読有り
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信州大学教育学部研究論集 16 162-171 2022年3月
講演・口頭発表等
1-
日本理科教育学会第71回全国大会 2021年9月20日 日本理科教育学会