共同研究・競争的資金等の研究課題

2015年4月 - 2019年3月

多元的な地域特性からみた近隣健康格差とその動態解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
15H02964
体系的課題番号
JP15H02964
配分額
(総額)
16,900,000円
(直接経費)
13,000,000円
(間接経費)
3,900,000円

近年、健康地理学を含む様々な社会科学とその関連領域では、小地域を単位とする居住地域(近隣)の社会的・物理的な環境特性と居住者個人との関係が、大きな問題関心を集めている。例えば、近隣の剥奪度(貧困の水準)の指標は、居住者の健康水準や犯罪不安、低い教育達成度と関連することが、欧米社会では広く知られている。本研究では、多様な居住地の地域指標を通して理解される地域―個人の相互関係を手がかりに、日本社会において小地域で立ち現れる健康の地理的格差の動態を理解するべく3つのアプローチをとった。第1に、様々な小地域指標を構築し、健康の地理的な格差の実態を把握した。地理的な剥奪指標(貧困度)、徒歩による生活の充足度を計測するwalkability、社会的孤立化を背景とする社会的断片化指標、居住地域の類型であるジオデモグラフィクスなどであり、これらが様々な健康指標あるいは健康を規定する行動・社会関係と関連することを確認した。第2に、小地域での健康格差の推移の俯瞰的把握を行い、地域的な社会経済地位の指標を用いた健康格差の推移を把握した。その結果、様々な死因において健康格差の存在とともに相対的な格差が拡大する趨勢を確認した。第3に、居住者特性と地域特性の時間的変化を結び付ける視点として、人口移動による居住地の選別による健康格差の形成(居住地選別仮説)と、特定の環境の長期に居住することで生じる地域特性の違いに応じた健康格差の形成(環境効果仮説)を検証する調査・分析を実施した。首都圏の居住地移動の実施者に対する分析では、移動した居住地域間の剥奪度・都市化度の違いに応じて健康行動・自覚的健康の特徴的な変化が生じること、また、身体活動に着目した追跡調査では、歩行に適した環境に住まう高齢者ほど歩行量や身体活動の衰えが乏しいことを確かめるなど、健康の地理的格差の形成過程に関する新しい知見を得た。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-15H02964/15H02964seika.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-15H02964
ID情報
  • 課題番号 : 15H02964
  • 体系的課題番号 : JP15H02964

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