流域環境における放射性物質移行挙動の解明
放射能環境動態・影響評価ネットワーク共同研究拠点2019年度年次報告会
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- 開催年月日
- 2020年3月
- 記述言語
- 日本語
- 会議種別
- 開催地
- 福島(online)
- 国・地域
- 日本
福島第一原子力発電所事故により流域環境に沈着した放射性物質について、ヤマメやアカネズミ等、ICRPの標準動物への移行及び放射線影響を評価するため、生態系と環境媒体の調査を共同で実施している。その一環として、ヤマメへの溶存態放射性セシウム移行メカニズム解明のため、渓流水(溶存態$^{137}$Cs濃度: 0.1-0.2Bq/L)を導入した養殖池で清浄餌を用いた飼育実験を行った。飼育したヤマメ成魚(n=10)の筋肉中$^{137}$Cs濃度は比較的高く、個体差が見られた(30-200Bq/kg-wet)。胃内容物に池底の砂礫が存在したことから、餌・渓流水以外の$^{137}$Csソースが考えられた。安定同位体比を用いた食性解析の結果、$^{137}$Cs濃度が高い個体ほど水生生物($^{137}$Cs濃度: 数百$\sim$数千Bq/kg-wet)の摂食割合が高かった。言い換えれば、溶存態$^{137}$Csからの移行だけではヤマメの$^{137}$Cs濃度は食品中の放射性物質に関する基準値(100Bq/kg)を上回らないことを示唆する。