2008年 - 2009年
未知環境下における意義情報の抽出と知識の確立過程
文部科学省 科学研究費補助金(特定領域研究) 特定領域研究
- 課題番号
- 20033010
- 体系的課題番号
- JP20033010
- 担当区分
- 研究代表者
- 配分額
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- (総額)
- 6,300,000円
- (直接経費)
- 6,300,000円
- (間接経費)
- 0円
- 資金種別
- 競争的資金
未知の問題に直面したとき、我々は試行錯誤をすることにより知識を獲得し適切に問題を解決することができる。しかしその過程における神経メカニズムについては十分に知られていない。この問題を調べるため、我々は試行錯誤を伴う視覚探索課題を開発し、前頭前野外側部(the lateral prefrontal cortex, LPFC)から単一神経細胞記録を行った。試行錯誤を伴う視覚探索課題において、サルは6つの異なる色刺激の中から1つの色刺激を選択しなければならない。選択された色刺激が、実験者が事前に決めた目標色であれば報酬(ジュース)が得られる。目標刺激の色は試行ブロックが変わるごとにランダムに変更されるが、サルには目標刺激の色、更新タイミングに関する情報が一切与えられない。このため、報酬のフィードバックにもとづいて試行錯誤により目標となる色刺激を探索する必要がある。サルは目標刺激の色が変更された後、通常、数試行にわたって目標以外の色刺激を選択するが、一度でも目標である色刺激を選択するとステップ状の正答率変化を示し、それ以後は90%程度の高い正答率を維持した。このようなステップ状の正答率変化は、知識ベースの学習であることを示唆する。学習が成立する前(試行錯誤期間)では異なる色刺激を次々に選択することが必要であるが、学習が成立した後(メンテナンス期間)では同一の色刺激を選択し続けることが必要となり、2つの期間で行動選択の方略が根本的に異なると考えられる。実際、試行錯誤期間とメンテナンス期間でLPFニューロンの神経活動を比較したところ、試行錯誤期間において特異的な活動を示し2つの期間を区別するニューロン群を見出した。このことから、LPFがオブザーバー的な役割を果たし、2つの期間で異なる方略を使い分けるための神経機構の形成に役立っている可能性が考えられた。
- リンク情報
- ID情報
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- 課題番号 : 20033010
- 体系的課題番号 : JP20033010