共同研究・競争的資金等の研究課題

2010年4月 - 2011年3月

高機能バイオナノ接合を目的とする界面メソ領域の設計

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員研究奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
10J10816
体系的課題番号
JP10J10816
担当区分
研究代表者
資金種別
競争的資金

本年度は、バイオセンシング技術・バイオイメージング技術への実用を目指し、"(I)水晶振動子マイクロバランス法におけるエネルギー損失解析によって体液でのバイオナノ界面の計測法を確立"した。さらに、"(II)細胞を効率的かつ低侵襲にイメージするための材料創製技術を確立"した。
(I)では、水溶液系での生体親和性材料(水酸アパタイト、ポリ(スチレン))に対するタンパク質の吸着に関わる界面の構造と物性を明らかにした。まず、マイクロバランス法に適した水酸アパタイトナノ結晶のナノ薄膜の成膜条件を確立し、再現性良くタンパク質を吸着するラジカル表面処理法を見出した。そして、血清の多成分タンパク質溶液から形成される材料表面の吸着層の粘弾性物性と溶媒効果(イオン種の違いの効果)の関係を見出し、複合吸着状態を明らかにした。さらに、血清タンパク質が吸着した表面へ細胞が接着するプロセスを見出し、表面の材料がタンパク質を介して細胞に寄与することを明らかにした。
(II)では、生体内・外でがん細胞を効率よく検出するための材料創製を目的とし、生体・細胞親和性および発光効率の高いナノ粒子を創製した。具体的には、希土類イオンを添加した水酸アパタイトナノ粒子および多孔質シリカナノ粒子の合成法を確立し、形態を制御し、がん細胞と特異的に結合・取込まれる分子をナノ粒子表面へ化学修飾する技術を開発した。その結果、合成したナノ粒子は、可視光励起によりイメージングに十分な赤色発光強度を示した。さらに、希土類イオンの添加・表面化学修飾によりナノ粒子の構造・発光は維持され、がん細胞イメージングに最適なナノ粒子合成法を確立した。
本研究の成果は、医療診断技術(振動子法による生体分子検出、体内診断薬剤による内視鏡診断)への実用が可能である。企業との共同研究推進および特許出願を精力的に推進し、実用化に向けた研究を展開する定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-10J10816
ID情報
  • 課題番号 : 10J10816
  • 体系的課題番号 : JP10J10816