共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2019年3月

不安症の認知行動療法における「変容プロセス測定・一般法則導出」サイクルの開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
  • 嶋 大樹

課題番号
17J10709
配分額
(総額)
1,900,000円
(直接経費)
1,900,000円
(間接経費)
0円

本研究では,不快な体験を避けようとする試みである「体験の回避」を,日常生活下において測定する方法論を確立するための検討を行なった。昨年度の研究で,スマートフォンを用いた生態学的経時的評価法(Ecological Momentary Assessment: EMA)を用いた,測定法の枠組みを提示した。当該方法は,先行条件-行動-結果の連鎖である「随伴性」に基づいて体験の回避を捉えるものである("随伴性指標"と命名)。今年度は,その応用可能性について2つの研究結果をまとめた。
研究1では,学生の行動変容場面において当該測定法が応用可能であるかを検討した。体験の回避に起因すると想定される行動を変容するための介入を実施し,随伴性指標が変化するか否かを検証した。介入が適切に実施されていたことが確認された3名のデータからは,行動変容を十分に予測することはできなかった。したがって,今後測定内容や対象を絞り込む必要があることが考えられた。ただし,EMAを用いた随伴性指標について,その測定法に関する疑問点や困難な点に関する報告はなかった。随伴性指標は日常生活下において複数回測定をすることを要するが,回答数が極端に減少した者はおらず,その応用可能性が一部確認できた。
研究2では,不安性患者のセラピー場面における応用可能性を検討した。体験の回避の低減を意図した介入を実施し,経過中に随伴性指標への回答を求めた。アンケート,主治医/担当心理士の臨床的印象は改善方向に変化し,介入は適切であった。しかし,随伴性指標の変化の有無および方向は患者ごとに異なっており,一貫した結果は得られなかった。ただし,随伴性指標を用いた測定に関する不都合は報告されず,十分な回数の回答が得られたため,応用可能性の一部が確認された。また,自身の状況や行動を再確認できたとの報告があり,測定自体が治療効果を有する可能性が示唆された。

ID情報
  • 課題番号 : 17J10709