共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

Power to Gas由来の水素を用いた有機性廃棄物メタン発酵の高度化

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H02286
体系的課題番号
JP20H02286
配分額
(総額)
17,810,000円
(直接経費)
13,700,000円
(間接経費)
4,110,000円

本研究は、欧州で研究が先行する“Power to Gas”の概念により得られる水素を用いた有機性廃棄物メタン発酵の高度化を目的とする。
本年度は、下水汚泥を用いて、中温域(37℃)、および高温域(55℃)での、水素添加型バッチ式メタン発酵実験を、昨年度よりもより広い水素添加の範囲(~600mL/g-VTS)で行った。その結果、中温域、高温域ともに、H2添加量が300mL/g-VTS以上で、メタン濃度は96%以上になったが、生成量としては、H2添加量120~140mL/g-VTSで最大となり、特に高温消化汚泥でこの時のメタン濃度は20%上昇し70%となった。本条件では、酢酸資化性Methanosarcinaの増殖が確認された。このH2添加量以上では、ガス発生量が大幅に低下し、発酵阻害が認められた。前年度の結果と合わせ、下水汚泥では高温消化汚泥を対象とした場合に、H2添加量は、100~140mL/g-VTS程度が妥当であると考えられた。
また、食品廃棄物を対象に、半連続式の水素添加メタン発酵実験(HRT:20日)を、高温条件、有機物負荷:4.26(kgVTS/m3/day)、H2添加量0~2700mL/g-VTSで実施したところ、H2添加量が、2000mL/g-VTSまで、CH4濃度は75.7%まで直線的に増加したが、2700mL/g-VTSでは、ガス発生量が停止し、酢酸、プロピオン酸が蓄積した。
これら一連の結果に関連し、メタン発酵についての数理モデルのプロトタイプを構築した。標準的な下水汚泥の嫌気性消化シミュレーションに適用し、一般的な運転条件下で、標準的なバイオガス発生率が再現されることを確認した。そして、水素添加条件を計算することで、投入水素量に応じたメタンガス生成量の増加、過度の水素添加による微生物反応の阻害などを表現できることを確認した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H02286
ID情報
  • 課題番号 : 20H02286
  • 体系的課題番号 : JP20H02286

この研究課題の成果一覧

論文

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MISC

  7

講演・口頭発表等

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