MISC

2016年8月

高ガラクトース血症を契機に診断された肝内門脈-肝静脈シャントおよび肝内血管腫の1例

小児科臨床
  • 上田 美希
  • ,
  • 勝部 康弘
  • ,
  • 星野 レイ
  • ,
  • 徐 東博
  • ,
  • 田嶋 華子
  • ,
  • 赤尾 見春
  • ,
  • 海津 聖彦
  • ,
  • 柳原 剛

69
8
開始ページ
1397
終了ページ
1402
記述言語
日本語
掲載種別
出版者・発行元
(株)日本小児医事出版社

症例は1ヵ月25日の女児。新生児マス・スクリーニング検査で高ガラクトース血症を指摘され、前医より紹介された。初診時は無症状であり、左肩部に皮膚血管腫を認めた。腹部超音波検査で肝に腫瘤を認め精査目的に腹部造影CTを施行したところ、多発性肝内血管腫および肝内門脈-肝静脈シャントを認めた。そのため高ガラクトース血症はこれらのシャントによるものと考えられた。乳糖除去を開始したところ高ガラクトース血症は改善し、血中のアンモニアおよび総胆汁酸値は一過性に高値を示したものの合併症なく経過し、生後7ヵ月現在は無治療で発育・発達とも良好である。新生児マス・スクリーニングで発見される軽度の高ガラクトース血症の原因として門脈体循環シャントは重要である。門脈体循環シャントは肝性脳症や肺高血圧などの合併症を生じ得るため、疑った場合には積極的に造影CTを含めた画像評価を行い、慎重に経過観察をする必要がある。(著者抄録)

ID情報
  • ISSN : 0021-518X
  • 医中誌Web ID : 2016323503

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