共同研究・競争的資金等の研究課題

2001年 - 2003年

蛋白質フォールディング酵素の生物活性

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
13460148
体系的課題番号
JP13460148
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
12,700,000円
(直接経費)
12,700,000円

我々はPin1遺伝子欠損マウスを作製しPin1の生物学的な機能を明らかにしてきた。(1)Pin1は生存に必須であると報告されていたが、Pin1-/-マウスが生存することで、この報告が間違いであることを証明した。Pin1-/-マウスの胎児線維芽細胞(MEF)でPar14の発現量が増加していることからPar14がPin1の機能的な重複分子である可能性を示した。(2)Pin1-/-MEFを用いた一連の研究によって、Pin1が、G2/MだけでなくてGO期からの脱出や、G1/Sの進行にも関わる事を示した。(3)Pin1-/-マウスの表現型を解析した結果、1)個体が小さい、2)網膜が薄くなる異常が生じる、3)妊娠したメスマウスの乳腺の形成が貧弱になることなどを発見し、Pin1がCyclinD1の発現レベルを制御していることを示した。Pin1が口腔癌で正常組織に比べて高レベルであることを示した。(4)精子形成の欠陥が見られた。特に、129SVマウスをB6マウスとバッククロスして作成したB6のPin1-/-マウスでは精子だけでなくて卵子形成にも欠陥が起こり、雌雄ともに不妊になる表現型も発見された。(5)Pin1-/-マウスMEFに遺伝子損傷を与えても、細胞増殖(細胞周期)が停止したり、細胞死が起こったりしないことから、Pin1がp53の機能を調節していることを発見した。(6)Pin1-/-マウスの脳に変性した過剰リン酸化tauが多く存在して、神経原線維変化を起こすことを発見し、Pin1が神経変性疾患に関係することを示した。以上の成果はNatureの3報告とNature Cell Biologyの1報をはじめとして、PNAS, JBC, Chem Biol, JMBなど多数の一流誌に発表することができた。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-13460148
ID情報
  • 課題番号 : 13460148
  • 体系的課題番号 : JP13460148