共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年 - 2007年

エバネッセント・マルチフォトンプローブによる超精密平坦加工面のナノ欠陥高速計測法

日本学術振興会  科学研究費助成事業 萌芽研究  萌芽研究

課題番号
18656041
体系的課題番号
JP18656041
配分額
(総額)
3,500,000円
(直接経費)
3,500,000円

本申請研究は,近接場光計測技術の特徴である高分解能計測特性と遠隔伝搬光計測技術の最大の利点である面内-括並列処理特性を高度に融合することによって,回折限界に制限を受けない,全く新しい光学的超精密加工平坦面欠陥計測技術の確立を目指したものであり,平成19年度は,前年度に構築した提案計測原理の実験的検証を主要目的として,以下の具体的な成果を得た.
(19-1)ナノ欠陥計測基礎装置の設計・試作(高橋哲担当)
前年度に構築したエバネッセント・マルチフォトンプローブ生成基礎光学系をベースにして,マルチフォトンプローブ照明系とナノ欠陥起因微弱散乱光高感度検出系を融合したナノ欠陥計測基礎装置の設計・試作を行った.結果,具体的な仕様として,定在波ピッチ制御範囲266〜400nm,定在波シフト分解能0.185nm,定在波シフト範囲13.7μm,最大観察視野114×86(μm×μm)の装置開発に成功した.なお,開発装置は,環境外乱の影響を最小限に抑えるために,恒温室内に設置されたクリーンブース内に設置した.
(19-2)標準蛍光ナノ粒子を用いたナノ欠陥計測検証実験(高橋哲担当)
(19-1)で試作したナノ欠陥計測基礎装置を用いて,検出欠陥の同定を行うことで,本手法の有効性について実験的に検証を試みた。この際,検出結果評価の厳密性を期すために,欠陥検出実験に先立ち,電子顕微鏡観察欠陥に基づいた欠陥位置同定手法の確立を行った.提案原理の最も本質的な機能(対物レンズの解像限界を超越するか)確認のため,比較的NAの小さい対物レンズ(NA0.35,レイリー限界927nm)を利用した原理検証実験を行った結果,200nm粒子の2点粒子を明確に分離できることが確認でき,提案手法の妥当性・有効性を実験的に検証した.
(19-3)超解像複合アルゴリズムの解像特性の検討(高増潔担当)
生産現場におけるノイズに関して考察し,ノイズを付加させた複数像を用いて二点物体の解像シミュレーションを行いノイズ混入下での解像特性の検討を行った.結果,変調照明の複数シフトによるノイズ抑制効果を確認した.更に,ノイズ混入下での入力パラメータの影響を評価し,解像特性について検討した結果,限界解像力を達成するためには,変調照明ピッチを小さくすることと位相条件が揃った状態で独立なシフト回数を多くすること(シフトステップサイズを小さくすること)が要件となることがわかった.具体的には,変調照明ピッチ300nm,シフト回数10回の条件下では,混入ノイズが20%に達しても,100nm分解能が達成可能であることを示した.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18656041
ID情報
  • 課題番号 : 18656041
  • 体系的課題番号 : JP18656041