共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2022年3月

エンドソームの成熟を制御する新規メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
20K15786
体系的課題番号
JP20K15786
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

エンドソームは細胞膜からのエンドサイトーシスにより生じる細胞小器官(オルガネラ)で、成熟することで最終的にリソソームへと変化する。エンドソームの成熟は、酵母からヒトまで全ての真核生物に保存された現象であり、共通のメカニズムにより制御されると考えられている。これまでエンドソームの成熟に必須と考えられていたが、その詳細な機能は不明であったMon1(Rab7の活性化因子)を欠損した哺乳類ノックアウト(KO)細胞を作製したところ、この細胞では予想外なことに、エンドソームの成熟が部分的に阻害されてはいるものの、正常な機能を持つリソソームが形成されることを見出した。そこで本研究では、Mon1がどのようにしてエンドソーム成熟を制御するのか、その詳細な分子機構を明らかにすることで、エンドソーム成熟、リソソーム形成の新規メカニズムの解明を目指している。
Mon1 KO細胞では野生型に比べ、巨大なエンドソーム、リソソームが観察され、その数も有意に減少することはすでに明らかにしている。今年度はさらに、Mon1 KO細胞の詳細な表現型解析を行った。その結果、Mon1欠損細胞では、下流因子であるRab7 KO細胞に比べ、顕著にエンドソーム成熟の遅延、リソソーム機能の悪化が観察された。この結果から、Mon1にはRab7の活性化因子以外の機能を持つことが強く示唆された。そこで次にMon1の上流で機能することが知られているRab5をMon1 KO細胞でノックダウンしたところ、Mon1 KO細胞で観察された巨大なエンドソーム、リソソームの形成、数の減少がレスキューされることがわかった。さらにMon1 KO細胞ではRab5が過剰に活性化状態にあることも発見した。
以上から、Mon1にはRab7活性化因子としての機能以外にも、未知のRab5の活性化状態をコントロールする機能があることが示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K15786
ID情報
  • 課題番号 : 20K15786
  • 体系的課題番号 : JP20K15786