共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

動物集団における近交退化の分子メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(A)  基盤研究(A)

課題番号
20H00446
体系的課題番号
JP20H00446
配分額
(総額)
44,720,000円
(直接経費)
34,400,000円
(間接経費)
10,320,000円

野間馬の全個体について家系情報を収集し、それらに基づいて各個体の近交係数を調べた結果、野間馬集団の過去46年間の平均近交係数は0.195であり、また平均近交係数は1986年以降漸次上昇していることが明らかになり、近交化が進行していることが確認された。また、野間馬集団中の多くの個体のDNAを用いて、DNAマイクロアレイにより全ゲノムを網羅した約7万の一塩基多型(SNPs)のタイピングを行うと共に、主要組織適合性遺伝子複合体(MHC)のハプロタイプのタイピングを行った。その結果、SNPs のタイピング結果より求めた野間馬集団の平均近交係数は0.15であり、家系情報より求めた平均近交係数より若干低いもののやはり高い傾向を示した。さらにMHCクラスII領域の10遺伝子座のタイピングを行ったところ、野間馬の集団中には4ハプロタイプしか存在しないことが明らかになった。これらの結果から、当初の予想通り、野間馬の集団の近交化はかなり進行していることが確認された。また、現在飼育されている野間馬の全個体について、臨床診断、血液検査等により異常の詳細な調査も実施している。
これまでに世界各国から収集したウマのDNAサンプルを用いて、PRDM9遺伝子の塩基配列を解析した結果、これら動物種においても他の動物種と同様に極めて多様性が高いことが確認された。またヒトにおいても日本人の集団中においてPRDM9遺伝子のZinc-Finger Domainの多様性は高く多くのハプロタイプが存在することが確認された。
さらに、黒毛和種の集団で発生が報告された、特徴的な症状を呈して生後間もなく死亡する疾患の発症個体について、家系の調査と共に広く全ゲノムの塩基配列の解析を行ったところ、特定の遺伝子を含むゲノム広い領域における欠失が確認され、近交化にともなうゲノムの不安定化がその原因である可能性も示唆された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H00446
ID情報
  • 課題番号 : 20H00446
  • 体系的課題番号 : JP20H00446