2005年 - 2006年
痛みの知覚の性差とそのメカニズム(1)ホルマリン誘発侵害刺激に対するpCREB発現の脳内マッピングとその経時的変化
文部科学省 科学研究費補助金(基盤研究(C)) 基盤研究(C)
1.ホルマリン侵害刺激に対する痛み行動の性差 正常雄性ラットおよび発情前期ラットの足底皮下にホルマリンを投与すると、二相性の痛み行動が惹起された。その中間相5-10分の痛み行動は、雌性ラットの方が有意に強く、従って、雌性ラットの方がホルマリン侵害刺激に対する感受性の高いこと確認された。またこの性差はエストロジェン依存性であることがわかった。
2.pCREBによる痛み受容脳領域のマッピングとその経時的変化 雄性ラットおよび発情前期ラットを用いてホルマリンテストを行い、pCREB免疫陽性細胞の発現の変化を、投与前を0分として、5、10,30,120分後に検討した。その結果、分界条床核外側部において、発情前期のラットではpCREB発現が、ホルマリン投与後5分において、有意に増加した。すなわち、行動上の痛覚過敏性と一致して、この領域のCREBがリン酸化されることが明らかとなった。
3.性腺ステロイドホルモンの役割 ホルマリン投与によるpCREB発現に性差の認められた分界条床核外側部において、雌性ラットの性腺を摘除すると反応性が消失し、エストロジェンを補充すると、ホルマリンに対する反応性が回復した。
以上、ホルマリン侵害刺激に対する痛み行動には性差が存在し、分界条床核外側部および側座核が関与すること、その性差は、性腺ステロイドホルモンに対する感受性の性差に起因することが推測された。
さ...
2.pCREBによる痛み受容脳領域のマッピングとその経時的変化 雄性ラットおよび発情前期ラットを用いてホルマリンテストを行い、pCREB免疫陽性細胞の発現の変化を、投与前を0分として、5、10,30,120分後に検討した。その結果、分界条床核外側部において、発情前期のラットではpCREB発現が、ホルマリン投与後5分において、有意に増加した。すなわち、行動上の痛覚過敏性と一致して、この領域のCREBがリン酸化されることが明らかとなった。
3.性腺ステロイドホルモンの役割 ホルマリン投与によるpCREB発現に性差の認められた分界条床核外側部において、雌性ラットの性腺を摘除すると反応性が消失し、エストロジェンを補充すると、ホルマリンに対する反応性が回復した。
以上、ホルマリン侵害刺激に対する痛み行動には性差が存在し、分界条床核外側部および側座核が関与すること、その性差は、性腺ステロイドホルモンに対する感受性の性差に起因することが推測された。
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- 課題番号 : 17590208