共同研究・競争的資金等の研究課題

2018年4月 - 2021年3月

炭素排出の国際移転:中国のエネルギー・気候変動政策とアジアのエネルギー構造転換

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18H03426
体系的課題番号
JP18H03426
配分額
(総額)
17,290,000円
(直接経費)
13,300,000円
(間接経費)
3,990,000円

2018年度の研究から,中国のエネルギー・気候変動政策が国内外のエネルギー産業とエネルギー構造に及ぼしている影響の概要,その影響とそれをめぐる論争が国と産業による相違を明らかにした.
森・金は,2014年の中国の石炭輸入禁止がアジアのエネルギー転換に及ぼした影響を分析した.結果,インドネシア・ベトナムは輸出を国内消費に回すことで,インドは有利な条件で石炭輸入を拡大することで影響を吸収し,石炭消費と温室効果ガス排出を増加させたことを明らかにした.そして,この結果をインドネシア科学院(LIPI)及びジャワハナールネルー大学で報告した.それを踏まえてSombodoは,インドネシアで石炭消費の増加の抑制を可能にする技術的措置を探求し,担い手と実現可能性に関する考察を加えて上記LIPIでの研究報告会で報告した.またJanardhananは,インドの石炭火力発電への転換が大気汚染の深刻化と水不足により早晩持続困難となること,そのため再エネ増加が拡大するエネルギー需要の充足に不可欠なこと,現時点では再エネ市場が大きいために,中国製品とインド製品との間で競合が起こっているわけではないとの知見を得た. 堀井は,中国の石炭利用規制の強化と再エネ政策の変更の国内影響を分析した.結果,石炭利用規制は石炭ボイラー製造業の収益に負の影響を及ぼしていること,買取価格引き下げによる再エネ導入への負の効果は各省別の「再エネ発電割当制度」によって相殺されることを明らかにした.
藤川・伴は,中国の石炭利用規制が国内交易・国際貿易を通じて引き起こすと想定される雇用の減少と国内・国際的炭素リーケージの大きさを時系列で評価した.結果,中国は先進国に比べると労働集約的であることから,中国の投資減少よりも少額の先進国からの投資で雇用の減少を緩和できるとの知見を得た.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18H03426
ID情報
  • 課題番号 : 18H03426
  • 体系的課題番号 : JP18H03426