共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

社会的刺激への反射的応答に着目した自閉スペクトラム症の生物学的病態解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業  基盤研究(C)

課題番号
16K10248
体系的課題番号
JP16K10248
配分額
(総額)
4,810,000円
(直接経費)
3,700,000円
(間接経費)
1,110,000円

本研究課題では、自閉症診断面接法(Autism Diagnositic Interview-Revised)ならびに自閉症スペクトラム観察検査(Autism Diagnostic Observation Schedule)によって自閉スペクトラム症と診断された成人において、情動的表情の認識課題(幸福、怒り、悲しみ、嫌悪、驚き、恐怖)の正答と誤答のパターン、ならびに表情のモーフィング画像の解答パターンを調べた。その結果、自閉スペクトラム症においては、6表情の中で特に怒りと嫌悪の正答率が低下しており、介入により対人行動が改善すると、怒りと嫌悪を取り違える誤答が減少していた。両者は不快情動である点は共通しているが、他者への攻撃性の有無という点で異なっており、表情の背後にある攻撃性などの他者の心的表象の認知が自閉スペクトラム症の病態に関連していることが示された。本年度はこの知見をさらに推し進めるため、未知相貌の認知課題、情動的表情の認識課題(幸福、怒り、悲しみ、嫌悪、驚き、恐怖)の正答・誤答パターンに加え、静的・動的表情の認知における表象モーメント、視線からの情動認知(eye test)を追加実施し、これらと対人行動の改善、ならびに、眼球運動と脳構造画像、心理症状(抑うつ、不安)との関連についてデータを蓄積し、これらの関係を確認しうるデータセットを取得しようとしている。現在は、データをサンプリング中であり、追加データの数量的検討を行うには至っていないが、翌年度もこれらのデータを引き続き蓄積する。平成31年度後半に向けて、臨床症状の中間表現型となる指標を確立し、さらに介入効果の指標となるかについても知見を得る予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16K10248
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-16K10248/16K10248seika.pdf
ID情報
  • 課題番号 : 16K10248
  • 体系的課題番号 : JP16K10248