共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年 - 2007年

ノックアウトマウスを用いたムスカリン性アセチルコリン受容体の機能解析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
18390073
体系的課題番号
JP18390073
配分額
(総額)
16,830,000円
(直接経費)
14,700,000円
(間接経費)
2,130,000円

リンパ球に発現するムスカリン性受容体(mAChR)の機能解析:mAChRノックアウト(KO)マウスを用いて、リンパ球機能に及ぼすアセチルコリン(ACh)の役割を検討した。M_1/M_5ダブルKOマウスにおけて、抗原特異的IgG産生量がWild-typeと比較して減少した。Wild-typeでは,コンカナバリンA(ConA)によりACh合成酵素ChAT、インターロイキン-2(IL-2)およびc-fos遺伝子発現が増強した。M_3 mAChR-KOマウスでは,ConAによるIL-2およびc-fos遺伝子発現が減弱した。以上より、AChによるリンパ球機能調節へのM_1/M_5およびM_3 mAChRの関与が示唆された。
膀胱頚部括約筋機能におけるmAChRサブタイプの役割:排尿時における膀胱括約筋の弛緩機構におけるmAChRの関与を検討した。Wild-type標本においてノルアドレナリンによる収縮張力をカルバコール(CCh)は濃度依存性に弛緩させた。この弛緩反応はアトロピンにより抑制された。CChによる弛緩反応は、Wild-type標本と比較してM_2-KO標本では同程度であったが、M_3-KO標本において減少した。CChによる弛緩反応はインドメタシンにより著しく抑制された。PGE_2は濃度依存性の弛緩を生じた。以上より、弛緩にはM_3 mAChR関与しており,弛緩へのPGE_2の関与が示唆された。
過活動膀胱治療薬の膀胱mAChR結合特性の解析:mAChR-KOマウスを用いて、膀胱及び唾液腺におけるmAChRに対する排尿障害治療薬の受容体結合動態を検討した。M_2-KOマウスにおける受容体結合実験において、オキシブチニン(Oxy)びソリフェナシン(Sol)は、膀胱と唾液腺のM_3 mAChRに対し同等の結合親和性を示した。Oxyは、M_2KOマウスへの経口投与により、膀胱より唾液腺のM_3 mAChRに高い結合親和性を示した。M_2-KOマウスへのSolの経口投与は、Oxyとは逆に、唾液腺より膀胱のM_3 mAChRに高い結合親和性を示した。以上より、SolはOxyより副作用(口内乾燥)の少ない薬物であることが実証された。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-18390073
ID情報
  • 課題番号 : 18390073
  • 体系的課題番号 : JP18390073