共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年4月 - 2021年9月

日本人英語学習者による文法素性の習得-解釈不能素性を用いた理論的・実証的研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
19J14670
体系的課題番号
JP19J14670
配分額
(総額)
2,300,000円
(直接経費)
2,300,000円
(間接経費)
0円

本年度は,日本人と中国人英語学習者によるwh疑問文の習得に焦点を当てて研究を行った.昨年度行った量化詞の習得研究では,量化詞の解釈の習得に伴う難しさは,量化詞がもつ文法素性の習得の困難さに還元されるということが明らかになった.
本年度のwh疑問文の習得研究では,wh句が移動しない代わりに疑問助詞「か」が移動する日本語と,移動が全く関与しない中国語を母語とする学習者が,英語のwh句の移動を習得できるのか調査した.中国語話者はwh移動を駆動する文法素性を習得する必要があり,日本語話者は「か」にある移動駆動素性をwh句に置くという素性再組立てが必要となる.本研究では,中級および上級学習者に対して,容認度判断タスクと文産出タスク,自己ペース読み実験を行った.
実験の結果,中級学習者はどちらのグループも母語の移動方略を用いてwh疑問文を構築していることが明らかになった.一方,上級学習者はwh移動を習得できることも示された.wh移動は文法素性によって駆動されるため,本結果は,移動および素性を欠いている言語(中国語)の話者がそれらを新たに習得できることを示しており,従来の主要仮説(表示欠陥仮説)への反証となる.また,英語と素性の組立て方が異なる日本語を母語とする学習者が再組立てをするのが可能であることも示された.
本研究の成果の一部は,Generative Approaches to Language Acquisition - North America 9やInternational Symposium on Bilingualism で発表した.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-19J14670
ID情報
  • 課題番号 : 19J14670
  • 体系的課題番号 : JP19J14670