2020年3月
発汗過多、成長障害を契機に診断に至った神経芽腫の一例
臨床小児医学
- 巻
- 67
- 号
- 1-6
- 開始ページ
- 84
- 終了ページ
- 89
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (財)小児愛育協会
小児の神経芽腫では、カテコラミン過剰分泌に伴う症状のみが初発症状となる症例は非常にまれである。今回、われわれはカテコラミン過剰分泌に伴う体重増加不良と顕著な身長増加停止、発汗過多が契機となり神経芽腫の診断に至った一例を経験した。症例は2歳7ヵ月女児。生後9ヵ月から体重増加不良、発汗過多があり、1歳4ヵ月から皮疹を認めたため、当院受診となった。初診時、血圧122/60mmHgと高値であり、血中ノルアドレナリン、ドパミン、尿中ノルメタネフリン著明高値を認め精査となった。MRI、CTで右副腎に直径4cmの腫瘍を認め、降圧薬内服により血圧をコントロールし、腫瘍摘出術を施行した。病理検査で神経芽腫(高分化型)の診断となり、褐色細胞腫の組織はみられなかった。小児でカテコラミン過剰分泌による症状を伴う副腎腫瘍の場合には、鑑別疾患として神経芽腫も考慮する必要がある。(著者抄録)
- ID情報
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- ISSN : 0035-550X
- 医中誌Web ID : 2020201438