2022年4月 - 2025年3月
ダイヤモンド電極法を用いた血中薬物濃度測定に基づくパゾパニブ服用患者の観察研究
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C)
ダイヤモンド電極を用いた迅速・簡便な血中薬物濃度測定法の開発に向け,経口分子標的薬パゾパニブを題材とした研究を進めた.研究開始段階で,血漿に混和した同薬剤が本手法により測定可能であることは確認されていたため,動物血漿を用いて,電位プロトコルやサンプル処理法など測定法の最適化を図った.次に,この手法を用いて,動物生体内の血漿薬物濃度の測定を行った.具体的には,薬剤をラットに内服させ,このラットから24時間以内に複数回血液を採取し,その薬物濃度を測定する実験を行った.ここでダイヤモンド電極を用いて得られた結果は,従来の標準であるLC-MS/MS法による測定結果との比較により,その妥当性が検証された.また,臨床研究として,同薬剤で治療された軟部肉腫患者から血液サンプルを採取した.すでに採取・保管されていた9名の患者サンプルについて,薬剤内服ラットでの実験と同様に,本手法,LC-MS/MS法によって血漿薬物濃度測定を行い,結果の妥当性を確認した.
動物実験,臨床患者サンプルを用いた実験のいずれにおいても,ダイヤモンド電極による血漿薬物濃度測定結果と従来法との誤差は,血糖測定計など市販の医療機器の基準と照らし合わせて妥当な範囲内であった.これらの結果から,ダイヤモンド電極を用いたパゾパニブ血漿薬物濃度の電気化学的測定は有用である可能性があると考えられたため,論文による報告を目指し,投稿作業を進めた.
動物実験,臨床患者サンプルを用いた実験のいずれにおいても,ダイヤモンド電極による血漿薬物濃度測定結果と従来法との誤差は,血糖測定計など市販の医療機器の基準と照らし合わせて妥当な範囲内であった.これらの結果から,ダイヤモンド電極を用いたパゾパニブ血漿薬物濃度の電気化学的測定は有用である可能性があると考えられたため,論文による報告を目指し,投稿作業を進めた.
- ID情報
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- 課題番号 : 22K06695
- 体系的課題番号 : JP22K06695
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Heliyon e15963-e15963 2023年5月 査読有り