2023年3月 - 2024年3月
核形成の光制御とキラルソフトマテリアルへの応用
日本学術振興会 科学研究費助成事業 特別研究員奨励費
昨年度までの研究で、光核形成制御法の確立の目処が立ったことから、今年度は階層的自己集合による超分子不斉増幅について詳細に研究を行った。
鏡像関係にあるキラル分子が混ざった場合、自己集合によりわずかな混合比の偏り(非対称性)が増幅され、得られる螺旋構造の巻き方向が一方に偏るという現象はマジョリティールール効果と呼ばれ、自然界のホモキラリティの起源を探求する上で重要な効果の一つとされている。昨年度、室温においてナノリングを形成し、0 ℃にするとそれらが積み重なってナノチューブへと階層的に自己集合するキラル分子(R体およびS体)を混ぜて集合させると、これらは混ざり合った状態でナノリングを形成し、その巻き方向は量が多い鏡像体に従うことを見出した。すなわち、ナノリング形成時にマジョリティールール効果によって巻き方向が決定されていることがわかった。得られたナノリング溶液を0 °Cに冷却することで得られたナノチューブ溶液において、ナノチューブ内でリングが回転する方向(螺旋の巻き方向)も量が多い鏡像体に従うことが判明した。このことから、ナノリングの巻き方向がナノチューブの巻き方向を決定づけていることが明らかとなった。この結果は米国化学会雑誌の一つであるJ. Am. Chem. Soc.誌に採択され、様々な媒体で解説記事が出されるなど、高い評価を受けた。
また本来の研究テーマである、光照射によるらせん繊維の巻き方向の自在制御についても興味深い結果が見出されている。具体的には、用いる紫外光・可視光の強度を厳密に制御することで、らせん繊維の巻き方向を連続的に変化させることに成功した。この結果および前年度に得られた光照射によるらせん反転のメカニズムをまとめ、論文執筆を行い、国際論文として発表する予定である。また発光性分子の合成も進め、光による円偏光発光の自在制御についても調査する予定である。
鏡像関係にあるキラル分子が混ざった場合、自己集合によりわずかな混合比の偏り(非対称性)が増幅され、得られる螺旋構造の巻き方向が一方に偏るという現象はマジョリティールール効果と呼ばれ、自然界のホモキラリティの起源を探求する上で重要な効果の一つとされている。昨年度、室温においてナノリングを形成し、0 ℃にするとそれらが積み重なってナノチューブへと階層的に自己集合するキラル分子(R体およびS体)を混ぜて集合させると、これらは混ざり合った状態でナノリングを形成し、その巻き方向は量が多い鏡像体に従うことを見出した。すなわち、ナノリング形成時にマジョリティールール効果によって巻き方向が決定されていることがわかった。得られたナノリング溶液を0 °Cに冷却することで得られたナノチューブ溶液において、ナノチューブ内でリングが回転する方向(螺旋の巻き方向)も量が多い鏡像体に従うことが判明した。このことから、ナノリングの巻き方向がナノチューブの巻き方向を決定づけていることが明らかとなった。この結果は米国化学会雑誌の一つであるJ. Am. Chem. Soc.誌に採択され、様々な媒体で解説記事が出されるなど、高い評価を受けた。
また本来の研究テーマである、光照射によるらせん繊維の巻き方向の自在制御についても興味深い結果が見出されている。具体的には、用いる紫外光・可視光の強度を厳密に制御することで、らせん繊維の巻き方向を連続的に変化させることに成功した。この結果および前年度に得られた光照射によるらせん反転のメカニズムをまとめ、論文執筆を行い、国際論文として発表する予定である。また発光性分子の合成も進め、光による円偏光発光の自在制御についても調査する予定である。
- ID情報
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- 課題番号 : 22KJ0466
- 体系的番号 : JP22KJ0466