共同研究・競争的資金等の研究課題

2016年4月 - 2020年3月

齲蝕予防・治療を目的としたpH・カルシウム蛍光イメージングによる齲蝕モデルの構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
16K11540
体系的課題番号
JP16K11540
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

歯垢中の細菌が糖代謝によって産生した酸が歯の表面を脱灰することにより、う蝕が生じる。従って、歯質-バイオフィルムインターフェイスにおいて、脱灰の原因となる酸と脱灰の結果として歯質成分であるハイドロキシアパタイトから溶出するカルシウム量を同時にモニタリングすることは、歯の脱灰の様相を解明するために必要である。本研究では、pHおよびカルシウム蛍光試薬を用いて、歯面上のバイオフィルム内部のpHおよびカルシウムの変化を経時的にイメージングする齲蝕モデル系を構築することを目的としている。さらに、う蝕予防および治療材料の細菌に対する酸産生抑制効果や歯質の脱灰抑制効果を比較検討することは、効果的なう蝕予防および治療法を確立するために不可欠である。
今年度は、フッ化ナトリウムおよびフッ化ジアンミン銀塗布歯面上の細菌中の銀量やフッ素量を測定した。その結果、昨年度に検討したフッ化物塗布後の歯面(歯冠エナメル質、根面象牙質)と細菌のインターフェイスにおけるpH低下抑制効果およびカルシウム溶出量の減少が、銀やフッ素の効果であると推察された。さらに、これらフッ化物の効果の持続性についても検討したところ、塗布後1週間で、細菌への代謝抑制効果は減少するものの、歯の表面からのカルシウム溶出量の減少が認められたことから、フッ化物により、歯の耐酸性が増加していることが示唆された。今後は、pH、カルシウムに加えて、フッ素など機能性材料から溶出する成分の動態を同時にモニタリングし、う蝕の予防・治療に効果のある材料・食品・薬剤等の評価への応用も考慮した齲蝕モデル系を模索し、構築していく予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-16K11540
ID情報
  • 課題番号 : 16K11540
  • 体系的課題番号 : JP16K11540