2005年 - 2007年
フランス福祉レジームの形成と展開
日本学術振興会 科学研究費助成事業 若手研究(B) 若手研究(B)
本課題の目的は、1.20世紀フランス福祉国家史を思想・制度の両側面から検討し、2.今日のフランス福祉国家再編が、他の国と比較していかなる特徴と射程を有するかを明らかにすることにあった。
1.20世紀フランス福祉国家の形成・展開
(1)フランスで国家・個人の二極構造からなる「ジャコバン主義」的伝統が修正され、第三共和政期に中間集団・国家の相互補完からなる「社会」像が形成されたこと、こうした秩序像の上にフランス福祉国家が形成されたことを、イギリスなどとの比較から明らかにした(研究成果の論文「ジャコバン主義と市民社会」、論文「『社会的なもの』への想像力」、および学会報告「フランス共和主義と社会問題」)。
(2)フランス福祉国家を基礎づける論理が、1970年代半ば以降、(1)規格化された個人像の多元化、(2)社会的保護から社会参入へ、(3)社会契約の目的の再審、という三つの形で問い直されていることを指摘した(学会報告「連帯のゆくえ-フランス福祉国家の歴史と現在」、2009年に『社会思想史研究』33号の特集号に掲載予定)。
2.フランス福祉国家再編の射程
戦後フランス福祉国家の特徴は労働と社会権との緊密な結びつきにあった。この特徴が、1980年代以降の福祉国家再編に独自のルートをもたらしていること、今日では労働と社会権とを切り離す方向で改革が進められているが、その程度をめぐって、新たな対立軸が生まれていることを明らかにした(研究成果の論文「現代フランスにおける連帯の再生論」。また論文「労働の再定義-現代フランス福祉国家論における国家・市場・社会」を『年報政治学』2008年度1号に掲載予定)。
1.20世紀フランス福祉国家の形成・展開
(1)フランスで国家・個人の二極構造からなる「ジャコバン主義」的伝統が修正され、第三共和政期に中間集団・国家の相互補完からなる「社会」像が形成されたこと、こうした秩序像の上にフランス福祉国家が形成されたことを、イギリスなどとの比較から明らかにした(研究成果の論文「ジャコバン主義と市民社会」、論文「『社会的なもの』への想像力」、および学会報告「フランス共和主義と社会問題」)。
(2)フランス福祉国家を基礎づける論理が、1970年代半ば以降、(1)規格化された個人像の多元化、(2)社会的保護から社会参入へ、(3)社会契約の目的の再審、という三つの形で問い直されていることを指摘した(学会報告「連帯のゆくえ-フランス福祉国家の歴史と現在」、2009年に『社会思想史研究』33号の特集号に掲載予定)。
2.フランス福祉国家再編の射程
戦後フランス福祉国家の特徴は労働と社会権との緊密な結びつきにあった。この特徴が、1980年代以降の福祉国家再編に独自のルートをもたらしていること、今日では労働と社会権とを切り離す方向で改革が進められているが、その程度をめぐって、新たな対立軸が生まれていることを明らかにした(研究成果の論文「現代フランスにおける連帯の再生論」。また論文「労働の再定義-現代フランス福祉国家論における国家・市場・社会」を『年報政治学』2008年度1号に掲載予定)。
- ID情報
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- 課題番号 : 17730092
- 体系的課題番号 : JP17730092