共同研究・競争的資金等の研究課題

2001年 - 2002年

ヒトパピローマウイルスに対する抗ウイルス剤の開発をめざした基礎的な検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
13671746
体系的課題番号
JP13671746
配分額
(総額)
3,600,000円
(直接経費)
3,600,000円

我々はこれまで子宮頸癌についてHPV感染を指標にした分子診断の可能性について検討してきた。まず、HPV16型のE7蛋白質に対する抗体が、HPV16型のDNAが検出される進行子宮頸癌患者の血清中から検出が可能な症例があることを明らかにした(Fujii et al.:Jpn J Cancer Res 86:28-34,1995)。さらに子宮頸癌の前癌病変を認めた患者より子宮頚部擦過細胞を採取し、RT-PCR法にてE6・E7の転写産物が病変の進行に伴い検出率が上昇することを明らかにした(Fujii et al : Gynecol Oncol 58:210-215,1995)。これらの結果はE6・E7遺伝子産物が臨床的にも癌の発生や維持に深く関与していることを示している。E2蛋白質はE6・E7遺伝子の発現を調節しているDNA結合蛋白質であることから、ウイルス発癌の機構を解析する上で極めて重要な蛋白質といえる。そこで、E2蛋白質に結合し、その転写機能を阻害するペプチドを単離することを目的とした。HPV16型のE2蛋白質を大腸菌で発現させ蛋白質を精製した。このE2蛋白質をプレートに固相化し、任意のアミノ酸配列がファージのファイバー蛋白質に発現しているライブラリーを用いて、E2蛋白質に結合するファージクローンを単離した。その結果、トリプトファンを含むペプチド配列が単離された。そこで、このトリプトファンをアラニンに置換したのち、E2蛋白質との結合性を比較したところ、変異ペプチドでは、その結合能が低下した。さらに、単離されたペプチド配列に核移行シグナルを付加した合成ペプチドを作成し、E2遺伝子の転写活性に及ぼす影響についてルシフェラーゼアッセイ法にて検討したところ、転写活性の低下が認められた。以上のことから、単離されたペプチドはE2蛋白質に結合し、その転写活性を抑制することが判明した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-13671746
ID情報
  • 課題番号 : 13671746
  • 体系的課題番号 : JP13671746