共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

子に対する措置とその可罰性についての分野横断的分析

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K13204
体系的課題番号
JP21K13204
配分額
(総額)
4,420,000円
(直接経費)
3,400,000円
(間接経費)
1,020,000円

本年度はまず、教師の懲戒権についての我が国の学説・判例の分析を行うことで、教師と親の懲戒権の関係性、整合性について明らかにすることを試みた。それにより、教師の懲戒権行使に関する裁判例の体罰該当性の基準が、従来の基準とされていた裁判例の枠組みとは少し異なることを確認した。これは、法改正が今まさに行われ現在の体罰について厳しい態度で臨んでいる親の懲戒権についての議論と、元から体罰禁止規定はあるものの長らく法改正がなされていない教師の懲戒権についての議論の関係において、体罰該当性が認められる範囲や正当化される範囲についての整合性を肯定する方向に働くものである。教師の懲戒権と親の懲戒権の関係に関しては、現在公表に向けて論文を執筆中である。
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また、現在進行中の法制審議会民法(親子法制)部会の議事録を分析し、懲戒権規定が削除され、親権に関する規定が改正された場合の影響について検討を行った。法制審議会における改正案では「体罰」のみならず、「心身の健全な発達に有害な影響を及ぼす言動」についても禁止されることとなったが、これは確認的な意味を有するにとどまるということが確認できた。また、本改正案の分析から、親権の行使としての違法阻却判断にあたって、その措置が子の心身にどのような影響を与えるのかを考慮要素として検討することがますます重要となり、子の心身に与える影響が法的にいかなる理由からどのように評価されるべきかについても検討されなければならないことを改めて認識した。さらに、本改正が行われた場合に残る問題、新たに生じる問題が何かを分析することで、新たな課題が浮き彫りとなった。
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以上のような形で、本年度は次年度以降の本研究につながるものとなったといえる。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K13204
ID情報
  • 課題番号 : 21K13204
  • 体系的課題番号 : JP21K13204