共同研究・競争的資金等の研究課題

2013年4月 - 2016年3月

分子化石を用いた白亜紀海洋無酸素事変期における海洋環境変動と生態系応答の解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
13J02814
体系的課題番号
JP13J02814
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
2,700,000円
(直接経費)
2,700,000円
(間接経費)
0円
資金種別
競争的資金

新たに中極性カラム(VF-200 ms)をGCMSに装備して再分析を行なった結果,三芳香環ステロイドの異性体の分離に成功し,これらの化合物を用いた生産性指標のデータ精度の向上ができた。また,ケロジェン観察をより詳細に行なうために,8月下旬から9月頭にドイツで研究室訪問をした。特にアクリタークについては,AWIのVersteegh博士,Senckenberg博物館のBrocke博士らと綿密な議論をし,分類法に関して細かな指導を受けた。これらのデータを整理した結果,南東フランスと北海道の両方のOAE2層準試料中で渦鞭毛藻の生産性指標(TADS)の高い試料においては,渦鞭毛藻シストに類似したアクリタークMicrhystridiumが濃集しており,これらを形成したと考えられる小型の渦鞭毛藻類がOAE時の海洋生産に寄与した可能性が示された。
また,OAE1b期の堆積岩における特殊なアリルイソプレノイドの起源特定のため,Senckenberg博物館の協力で入手できたMessel頁岩を用いて追加の実験を行なった。具体的には,長鎖アリルイソプレノイドの同定,それらの起源生物であるBotryococcus buraunii (Race L) の形態観察,およびその濃集画分の熱分解分析をした。OAE1b層準堆積岩のうち弱い蛍光を発するWFA(weakly fluorescent amorphous)が濃集した試料を熱分解すると,特徴的なイソプレノイドが多く検出,B. buraunii濃集画分と同様の分析結果が得られた。これらの結果から,OAE1b 時の基礎生産者として,B. burauniiと近縁な海生緑藻類が大きく寄与した可能性が指摘できた。
以上の研究成果は,OAEs発生時の海洋基礎生産者を議論する上で重要な成果であり,これらに関連した発表は論文の執筆と合わせて今後行なっていく予定である。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-13J02814
ID情報
  • 課題番号 : 13J02814
  • 体系的課題番号 : JP13J02814