2020年6月
【トラウマ臨床の新しい動向と広がり】複雑性PTSDのこれまでとこれから
精神科治療学
- ,
- 巻
- 35
- 号
- 6
- 開始ページ
- 573
- 終了ページ
- 578
- 記述言語
- 日本語
- 掲載種別
- 出版者・発行元
- (株)星和書店
複雑性心的外傷後ストレス障害(complex posttraumatic stress disorder:CPTSD)は、ICD-11に収載された新たな概念である。複雑な心的外傷に曝露し、心的外傷後ストレス障害(posttraumatic stress disorder:PTSD)の3症状である再体験、回避、持続的な脅威知覚に加えて、自己組織化の障害と呼ばれる感情調整の問題、陰性の自己概念、対人関係の問題が出現した場合に診断される。ICD-11におけるCPTSDでは、当事者が「極度の脅威や恐怖」を感じて「逃れることが難しいか不可能」と考えるといった主観的な側面から複雑な心的外傷が定義されており、概念が乱用されることが懸念される。臨床では構造化面接を使用することで過剰診断を避けることができるかもしれない。精神病性障害、気分障害、パーソナリティ障害とCPTSDは併存しやすく、CPTSDを疑われる患者をアセスメントする際には精神障害全般をアセスメントするスキルが必須である。(著者抄録)
- ID情報
-
- ISSN : 0912-1862
- 医中誌Web ID : 2020296531