共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年4月 - 2024年3月

繊維構造の微細化によるセルロース材料の難燃化メカニズムの解明

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
21K14387
体系的課題番号
JP21K14387
担当区分
研究代表者
配分額
(総額)
4,680,000円
(直接経費)
3,600,000円
(間接経費)
1,080,000円

これまでに機械的な微細処理によって木質系材料の熱分解特性が変化することが報告されているが,燃えやすい・燃えにくいといった燃焼特性がどのように変化するか包括的に明らかにされていない.本研究では,セルロース材料の繊維構造の微細化がセルロース材料を難燃化するメカニズムを解明することを目的とし,繊維構造と燃焼特性の関係性の検討を行った.
燃焼特性に関わる繊維構造を明確に定義するため,繊維構造の定義を検討した.固体燃焼の理論において,固体粒子の燃焼限界は粒子サイズに依存することが示されており,1500 K以上の空気雰囲気下においても,10 μm以下の炭素粒子は燃焼が困難であることから,粒子径が1 μm 以上を燃焼に影響を及ぼすサイズと予測した.以上より,繊維直径1 - 100 μm の繊維が絡まりあうことで形成される構造を繊維構造と定義した.
繊維構造と燃焼特性の関係性の検討するため,繊維直径が1 - 20 μmの濾紙と和紙,繊維直径50 nm 以下の試料にバクテリアルセルロースを用い,燃焼試験を行った.燃焼試験は燃え拡がり速度と,限界酸素濃度の計測を行った.本研究で用いた面密度0.004 - 0.9 kg/m^2の試料の範囲では,バクテリアルセルロースの限界酸素濃度が濾紙や和紙と比較して,有意に高い傾向が示された.限界酸素濃度の増加は燃焼が困難となることを意味する.繊維直径の異なる試料で限界酸素濃度に差が生じたことから,繊維直径の減少は難燃化に寄与することが示唆された.
熱重量分析により,試料の熱分解特性を調査した結果,窒素雰囲気では熱分解の開始温度が繊維径に依存せず,空気雰囲気下では熱分解の開始温度や炭化物の生成量に違いが観察された.繊維直径の異なる繊維構造の違いがセルロース材料の酸化反応に影響を及ぼすことから,繊維内部の輸送現象が重要である可能性が推測される.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K14387
ID情報
  • 課題番号 : 21K14387
  • 体系的課題番号 : JP21K14387

この研究課題の成果一覧

講演・口頭発表等

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