共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

記憶B細胞の生存ニッチに重要な因子・細胞の同定

日本学術振興会  科学研究費助成事業 若手研究  若手研究

課題番号
20K16283
体系的課題番号
JP20K16283
配分額
(総額)
4,160,000円
(直接経費)
3,200,000円
(間接経費)
960,000円

ワクチン接種による感染防御の主体は、中和抗体の産生である。この抗体は初回感染またはワクチン接種の時に形成された記憶B細胞が再感染時に迅速に増殖したのち抗体産生細胞に分化することで供給される。記憶B細胞は長期に生存することで、生体を感染症から守っているが、どのようにして記憶B細胞の生存が担保されているかは未だ明らかではない。申請者は記憶B細胞が生存するためのニッチが存在するのではないかと仮説を立てた。本年度は記憶B細胞の生存に重要なBAFFの解析に焦点をあてて研究を行った。
申請者はこれまでに、記憶B細胞の生存にBAFFが重要であることをERT2-Cre BAFF-R floxマウスを用いて明らかにしている。そこで、BAFF-RFPマウスを用いて、脾臓におけるBAFF発現細胞を調べた。脾臓で最もBAFFを発現している細胞は好中球であり、樹状細胞やCD169+マクロファージ、濾胞性ヘルパーT細胞もBAFFを発現していた。
BAFF発現細胞を解析するために抗BAFF抗体で染色したところ、興味深いことに、B細胞の表面にBAFFが高レベルで結合していることがわかった。さらに、BAFFの表面の結合レベルは、胚中心B細胞と比較して、記憶B細胞において高いことがわかった。これは、BAFF欠損マウスの解析で、記憶B細胞は減少するが、胚中心B細胞は変化がなかったという結果と一致する。
また、BAFF-Rの発現を比較したところ、胚中心B細胞と記憶B細胞に発現の差はなかった。一方で、もう一つのBAFFの受容体であるTACIは胚中心B細胞と比較して記憶B細胞で高かった。今後はTACIも研究対象に入れて解析していきたいと考えている。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K16283
ID情報
  • 課題番号 : 20K16283
  • 体系的課題番号 : JP20K16283