2020年7月 - 2023年3月
第二次大戦期「帝国主義」の国際比較:グローバル・ファシズム研究の基盤構築に向けて
日本学術振興会 科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)
初年度(2020年度)は新型コロナ・ウィルスの影響から現地調査(欧州及び中国)が不可能になった事情を鑑みて、研究計画を一部修正した。まず各人がこれまでの研究内容を報告する形で研究会を開催し(オンラインで9月及び12月の都合2回)、日独帝国の占領下にあった時期の中国と南東欧地域に現れた支配体制および社会情勢の共通点と差異について確認した。また当初は研究期間を通じて順次取り組む予定であった「総力戦体制」内での大衆動員と食糧政策の分析にあたっては、個々に論文化を進めながら随時比較検討する態勢を整えている。
2020年9月の研究会では門間が「クロアチア独立国」における体制派知識人のファシズム認識の変遷について報告した上で、占領期中国社会のケースと類似した点を確認した。また12月の会では関が中国青年党の戦間期からの活動について検討し、国民党や共産党と異なる政治勢力、およびそのイデオロギーの所在に言及した。両報告は被占領地社会における青年層・知識人・「コラボ」の関係について再検討を促しながら、同地での大衆動員の構図を解明するにあたり新たな視点を提示するものだったと言える。昨今では欧州およびアジア圏で「記憶の政治」あるいは歴史認識を巡る問題が浮上しているが、両報告の分析対象が共にその政治課題に関連したものであることを踏まえて、実証及び解釈の両側面から「グローバル・ファシズム」の展開を追うことが重要であるとの認識を共有した。以上の議論を基にしながら、今年度は各人が研究成果の一部を書籍・学術論文として発表することが出来た。
2020年9月の研究会では門間が「クロアチア独立国」における体制派知識人のファシズム認識の変遷について報告した上で、占領期中国社会のケースと類似した点を確認した。また12月の会では関が中国青年党の戦間期からの活動について検討し、国民党や共産党と異なる政治勢力、およびそのイデオロギーの所在に言及した。両報告は被占領地社会における青年層・知識人・「コラボ」の関係について再検討を促しながら、同地での大衆動員の構図を解明するにあたり新たな視点を提示するものだったと言える。昨今では欧州およびアジア圏で「記憶の政治」あるいは歴史認識を巡る問題が浮上しているが、両報告の分析対象が共にその政治課題に関連したものであることを踏まえて、実証及び解釈の両側面から「グローバル・ファシズム」の展開を追うことが重要であるとの認識を共有した。以上の議論を基にしながら、今年度は各人が研究成果の一部を書籍・学術論文として発表することが出来た。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K20722
この研究課題の成果一覧
絞り込み
論文
1-
『グレーゾーンと帝国:歴史修正主義を乗り越える生の営み』(勉誠出版) 247-293 2023年3月
MISC
1-
現代史研究 66 77-84 2021年3月 招待有り
書籍等出版物
3-
勉誠出版 2023年3月 (ISBN: 458532027X)
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東洋書店新社 2022年3月31日 (ISBN: 9784773420470)
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戎光祥出版 2022年3月 (ISBN: 4864034222)
講演・口頭発表等
4-
第2回WINE若手研究者研究発表会 2022年3月16日
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Online-workshop "Fascism in Motion: Concepts, Agents and the Global Experiences" 2021年10月9日
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公開オンライン・ワークショップ「戦時期「グレーゾーン」を架橋する——東アジア・欧州の被占領地からの視点」 2021年7月17日 グレーゾーン研究会
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グレーゾーン研究会ワークショップ「戦時期「グレーゾーン」を架橋する ―東アジア・欧州の被占領地からの視点―」 2021年7月17日