共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年7月 - 2023年3月

第二次大戦期「帝国主義」の国際比較:グローバル・ファシズム研究の基盤構築に向けて

日本学術振興会  科学研究費助成事業  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
20K20722
配分額
(総額)
6,370,000円
(直接経費)
4,900,000円
(間接経費)
1,470,000円

初年度(2020年度)は新型コロナ・ウィルスの影響から現地調査(欧州及び中国)が不可能になった事情を鑑みて、研究計画を一部修正した。まず各人がこれまでの研究内容を報告する形で研究会を開催し(オンラインで9月及び12月の都合2回)、日独帝国の占領下にあった時期の中国と南東欧地域に現れた支配体制および社会情勢の共通点と差異について確認した。また当初は研究期間を通じて順次取り組む予定であった「総力戦体制」内での大衆動員と食糧政策の分析にあたっては、個々に論文化を進めながら随時比較検討する態勢を整えている。
2020年9月の研究会では門間が「クロアチア独立国」における体制派知識人のファシズム認識の変遷について報告した上で、占領期中国社会のケースと類似した点を確認した。また12月の会では関が中国青年党の戦間期からの活動について検討し、国民党や共産党と異なる政治勢力、およびそのイデオロギーの所在に言及した。両報告は被占領地社会における青年層・知識人・「コラボ」の関係について再検討を促しながら、同地での大衆動員の構図を解明するにあたり新たな視点を提示するものだったと言える。昨今では欧州およびアジア圏で「記憶の政治」あるいは歴史認識を巡る問題が浮上しているが、両報告の分析対象が共にその政治課題に関連したものであることを踏まえて、実証及び解釈の両側面から「グローバル・ファシズム」の展開を追うことが重要であるとの認識を共有した。以上の議論を基にしながら、今年度は各人が研究成果の一部を書籍・学術論文として発表することが出来た。

ID情報
  • 課題番号 : 20K20722

この研究課題の成果一覧

論文

  1

書籍等出版物

  3

講演・口頭発表等

  4