2009年
茎頂分裂組織および向背軸に異常を示す変異体enf1のトランスクリプトーム・メタボローム解析
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
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- 巻
- 2009
- 号
- 0
- 開始ページ
- 4
- 終了ページ
- 4
- 出版者・発行元
- 日本植物生理学会
植物の地上部は茎頂分裂組織から向背性をもつ葉が規則正しく形成されることによって連続的に発生を行う。我々は茎頂分裂組織および向背軸に異常を示すシロイヌナズナ変異体<i>enf1</i>変異体の単離・解析を行ってきた。この変異体の原因遺伝子<i>ENF1</i>は一次代謝の酵素をコードしていたことから、茎頂分裂組織や葉の形成に関わる新たな物質が存在し、その物質自体あるいは前駆体の量や分布が異常になり形態異常を引き起こしたと考えた。<br>そこで野生型と<i>enf1</i>変異体の地上部全体および茎頂部とにおいて変化している代謝物をGS-MS法を用いて調べた。<i>enf1</i>変異体においてクエン酸回路に含まれる代謝物量が茎頂部で特に大きく減少していたことから、ENF1は茎頂部でクエン酸回路への物質の供給に関わることが示唆された。一方、多くのアミノ酸類は変異体により多く蓄積していた。<br>さらに代謝異常と形態形成異常とのつながりを明らかにする目的でトランスクリプトーム解析をおこなった結果、<i>enf1</i>変異体では多くの転写制御因子の発現の上昇が観察された。これらの中には発生に関わる既知の転写因子も含まれている。以上のことから、代謝異常が本来発現が制限されている転写因子群の発現を促進することで、形態形成異常を引き起こした可能性が示唆された。
- リンク情報
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- CiNii Articles
- http://ci.nii.ac.jp/naid/130006992255
- ID情報
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- CiNii Articles ID : 130006992255
- identifiers.cinii_nr_id : 9000391944097