共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2023年3月

胎生期農薬曝露による発達神経変性を定量評価する技術の検討

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
20K12621
体系的課題番号
JP20K12621
担当区分
研究分担者
配分額
(総額)
4,290,000円
(直接経費)
3,300,000円
(間接経費)
990,000円

令和3年度には、テーマ1. 「農薬投与による上位脳の多面的な神経発達状況の観察」として、グリホサート(GLY) または アセタミプリド(ACET)を胎児期に急性投与または慢性投与した小脳構造の組織化学的な観察、生化学的な変化の観察、小脳から採取した脳の免疫細胞であるミクログリアの音響特性の変化の観察、および化学物質投与動物の行動変化と菌叢解析、動物の盲腸内の短鎖脂肪酸の産生量変化を観察した。高濃度GLYの投与で遅発的に進行する神経死の機序として、グルタミン酸トランスポーターGLASTの発現が抑制されることを確認し、これを生化学的な観察で確認した。この機序にYY1の関与が示唆された。前年度に観察された、低濃度慢性GLY投与が、高濃度投与と異なりプログラム神経死を抑制する効果を、顆粒細胞分化、腸内細菌叢の変化、行動変化、短鎖脂肪酸の変化により観察した。低濃度慢性GLY投与は、腸内細菌叢の変化が緩やかで、短鎖脂肪酸はプロピオン酸が有意に変化など炎症抑制的な機序が強く示唆された。ACET投与動物では、神経死の抑制、樹状突起発達の抑制と同時に、プルキンエ細胞の配列が強く乱れることが確認された。これはニコチンの投与でも観察され、ニコチン性受容体の活性化によるものと示唆される。ACET投与動物から採取されたミクログリアは、培養開始時からramified形状をとり、音響観察から三次元的なブリッジ構造をとることが観察された。ACET投与により脳の免疫細胞の状態が変化していることを強く示唆する。テーマ2.「機械学習を利用した特徴抽出」では、免疫組織化学観察で得た神経細胞およびアストログリアをMATLAB の machine learning toolboxを用いた画像認識システムで解析し、細胞を自動識別した上で、形状に変化がある神経細胞の自動抽出、アストロサイトの密度の自動抽出が可能となった。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20K12621
ID情報
  • 課題番号 : 20K12621
  • 体系的課題番号 : JP20K12621