2019年4月 - 2023年3月
非接触プラズマ中性粒子輸送解明のための対向壁水素リサイクルモデリング構築
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
本年度は、プラズマ対向壁に水素原子が入射する系を、分子動力学法を用いて計算を行った。水素原子が入射すると,プラズマ対向壁から水素原子・分子が放出する場合がある。このようにして放出した水素原子・分子の放出角やエネルギー分布等を解析した。具体的な計算としては、炭素壁に水素原子が入射する場合の計算を行った。原子間相互作用にはBrennerポテンシャルを用いた。水素を含有するアモルファス炭素を標的材とした。放出水素分子の回転準位Jおよび振動準位vの分布を求めることができた。比較的高い回転・振動準位を有する水素分子が存在することがわかった。また,これらの高い回転・振動準位を有する水素分子は,水素原子の入射から1ps以内の短い時間に放出する。このことから、入射水素原子との衝突過程が高準位の分子を生むこと、そして、振動準位が基底状態(v=0)の場合に、回転準位Jごとに励起される分子の分布を求めることができた。さらに、この分布がボルツマン因子に従うとしてフィッティングを行い,回転温度を評価することができた。入射水素原子と炭素内にいる水素原子たちとの衝突過程が非平衡現象であるため、ボルツマン因子から外れる高い回転準位を有する水素分子が発生したという解釈が成り立つ。熱エネルギーよりも格段に高い振動・回転エネルギーを有するこれらの分子が周辺プラズマの挙動に強く影響する可能性を指摘することができた。
また、壁から発生する水素について、機械学習を用いて発生量の予言も開始した。これは、分子動力学の計算時間がかかるため、機械学習を利用することで、計算負担を少しでも軽減することを目指したものである。現時点では、水素照射からある程度時間がたち、平衡状態に近づけば、機械学習を用いることで、発生する水素についての情報を得られる可能性が高いことをつかんでいる。
また、壁から発生する水素について、機械学習を用いて発生量の予言も開始した。これは、分子動力学の計算時間がかかるため、機械学習を利用することで、計算負担を少しでも軽減することを目指したものである。現時点では、水素照射からある程度時間がたち、平衡状態に近づけば、機械学習を用いることで、発生する水素についての情報を得られる可能性が高いことをつかんでいる。
- ID情報
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- 課題番号 : 19K03800
- 体系的番号 : JP19K03800