共同研究・競争的資金等の研究課題

2006年 - 2007年

人間との相互適応に基づいた卓上作業支援システム

日本学術振興会  科学研究費助成事業 特別研究員奨励費  特別研究員奨励費

課題番号
06J10474
体系的課題番号
JP06J10474
配分額
(総額)
1,800,000円
(直接経費)
1,800,000円

本研究では,家庭やオフィスにおいて卓上作業を行う作業者に対して,個々の作業者の適応過程を考慮した上で,作業者に対して能動的に手を差し伸べる卓上作業支援システムの実現を目的としている.
従来,作業者が知的システムから何らかの支援を受けるためには,作業者がシステムに対して明示的に支援要求を伝達する必要があった.しかしながら,支援を必要とするたびに,明示的な指示という付加的な行為を行うことを要求するようなシステムでは,作業者に対して手を差し伸べているとは言えない.そこで本研究では,明示的な指示無しで,迅速かつ正確に作業者の支援要求を推定し,その支援要求に応じて適切な支援を行うシステムの実現を目指している.
平成19年度は,複数のセンサから得られる空間情報に加えて,過去の物体使用履歴という時間情報を確率モデルによって統合することで,作業者の支援要求を推定する手法を提案した.また,支援要求の推定に基づいて,卓上作業支援システムの要素である複数の自走式トレイを用いた物体搬送支援を実現し,被験者実験により,提案手法の有用性を確認した.
1.空間情報と時問情報の統合による支援要求の推定 カラーCCDカメラから得られる作業者の手先運動と,非接触の頭部・眼球運動計測装置から得られる作業者の注視点の運動を基にして,作業者の身体運動が物体に対するリーチング動作であることの確からしさを計算する,これと,作業者毎の物体使用履歴に基づく確からしさを確率モデルて統合することで,作業者が物体を取ろうとして手を伸ばしている状態を迅速に検出するとともに,複数のターゲット候補から正しいターゲットを迅速に予測することができた.
2.自走式トレイを用いた卓上作業支援の実現 支援要求の推定結果および,躍度最小モデルを用いた手先到達点予測に基づき,作業者が必要としている物体を自走式トレイによって搬送する.提案手法を用いて支援を行った場合と,支援を行わない場合,明示的な指示により支援を行った場合について,被験者実験を行うことで作業遂行時間および,作業者にかかる物理的負荷を比較した.その結果,作業遂行時間に関しては,提案手法は明示的な指示方法を用いる場合に比べて有意に短くなった,また,物理的負荷に関しては,比較2手法に比べて小さいものとなった.また,自走式トレイの動作制御に単純なバンバン制御を用いることで,作業者が自走式トレイの動作を予測することが容易になり,結果として,システムへの適応速度が高くなることが示唆された.

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-06J10474
ID情報
  • 課題番号 : 06J10474
  • 体系的課題番号 : JP06J10474