共同研究・競争的資金等の研究課題

2019年8月 - 2021年3月

炭化ケイ素MOS界面におけるキャリア輸送に関する理論研究

日本学術振興会  科学研究費助成事業 研究活動スタート支援  研究活動スタート支援

課題番号
19K23514
配分額
(総額)
2,600,000円
(直接経費)
2,000,000円
(間接経費)
600,000円

炭化ケイ素(SiC)MOS界面には高密度の界面準位が存在し、これがSiC MOSFETの特性を劣化させるとともに、SiC MOS界面におけるキャリア輸送の理解を困難としている。本研究では、SiC MOS界面におけるキャリア輸送の理論モデル構築を目指して研究を行う。
2019年度には、まず、シリコンなどのMOS界面においても一般的なキャリア散乱過程である、フォノン散乱・イオン化不純物散乱・界面ラフネス散乱に加え、SiC MOS界面特有の散乱過程として、界面固定電荷および界面準位捕獲電子によるクーロン散乱・界面近傍に存在しうる電気的に中性な欠陥による散乱を考慮して、モンテカルロ法によりHall移動度の計算を行った。この結果を、実験的に報告されているSiC MOS界面におけるHall移動度と比較して解析を行った。
また、上記の散乱過程に加えて、SiC MOS界面に存在しうる電気双極子によるキャリア散乱の定式化を行った。このような散乱が移動度に与える影響について、上で述べた界面固定電荷などによる通常のクーロン散乱との比較を行った。
さらに、上で述べたモンテカルロ法によるキャリア輸送計算の手法を利用して、ワイドギャップ半導体における高電界印加時のキャリア輸送の解析も行った。実際の材料のバンド構造ではなく、あえて解析的なバンド構造を仮定して計算を行うことで、ドリフト速度や衝突イオン化係数など、高電界キャリア輸送にバンド構造が与える影響に関する物理的理解を得た。

ID情報
  • 課題番号 : 19K23514