2020年4月 - 2023年3月
円偏光照射による電子系のスピン偏極とスピン依存シフト電流の理論
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(C) 基盤研究(C)
フェルミ準位近傍にディラック型分散を持つ有機導体α-(BEDT-TTF)2I3を対象に、様々な光誘起相転移について調べた。具体的には、相互作用がない模型を用いて、いくつかの新しい光誘起相転移の出現可能性を理論的に提案した。まず、円偏光照射下におけるトポロジカル相転移について、時間依存シュレディンガー方程式を用いた時間発展計算を行い、得られたチャーン数やホール伝導度の時間変化の結果をフロケ理論による先行研究と比較しながら解析した。また、フロケ理論を用いて、楕円偏光照射下での様々なトポロジカル相転移の理論や、直線偏光照射下で生じるディラック点の対消滅に関する理論予測を行った。
さらに、相互作用を考慮した拡張ハバードモデルを用いた時間依存ハートリーフォック計算にも着手した。そこでは、電荷秩序の基底状態から出発し、光強度の増加に伴って電荷秩序の融解、光誘起ディラック状態の出現、さらにはフロケチャーン絶縁体の出現と二段階の転移が生じることが分かった。この結果は、相互作用がディラック分散にギャップを開ける効果、光で電荷秩序が融解することによってギャップが閉じる効果、および円偏光によってディラック点にトポロジカルギャップが生じる効果が絡み合って生じる新規な光誘起相転移であると考えられる。電荷秩序状態では空間反転対称性が敗れることから、この相転移がホール伝導度だけでなく、シフト電流で検出できる可能性について議論した。
さらに、相互作用を考慮した拡張ハバードモデルを用いた時間依存ハートリーフォック計算にも着手した。そこでは、電荷秩序の基底状態から出発し、光強度の増加に伴って電荷秩序の融解、光誘起ディラック状態の出現、さらにはフロケチャーン絶縁体の出現と二段階の転移が生じることが分かった。この結果は、相互作用がディラック分散にギャップを開ける効果、光で電荷秩序が融解することによってギャップが閉じる効果、および円偏光によってディラック点にトポロジカルギャップが生じる効果が絡み合って生じる新規な光誘起相転移であると考えられる。電荷秩序状態では空間反転対称性が敗れることから、この相転移がホール伝導度だけでなく、シフト電流で検出できる可能性について議論した。
- ID情報
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- 課題番号 : 20K03841
- 体系的課題番号 : JP20K03841