共同研究・競争的資金等の研究課題

2021年7月 - 2024年3月

大規模ゲノム再編成を基盤とする革新的天然物創製法の開発

日本学術振興会  科学研究費助成事業 挑戦的研究(萌芽)  挑戦的研究(萌芽)

課題番号
21K19324
体系的課題番号
JP21K19324
配分額
(総額)
6,370,000円
(直接経費)
4,900,000円
(間接経費)
1,470,000円

ゲノム解読技術の飛躍的な進展は、未利用生合成遺伝子資源というポストゲノム時代の新たな天然物探索資源を我々に提示した。これらは新規天然物の宝庫として期待され、これまで様々な休眠遺伝子の覚醒法や強制発現法が試みられ、未利用生合成遺伝子資源から新しい天然物が発見されてきた。本研究では、研究協力者の太田らが開発した、高度好熱細菌由来の制限酵素であるTaqIを用いる大規模ゲノム再編成技術「TAQingシステム」を糸状菌に応用し、これまでにない革新的な未利用生合成遺伝子由来新規天然物の創製法を開発することを目的とする。
まず、モデル糸状菌の一種である、Aspergillus nidulansを用いて検討を行った。A. nidulansで利用可能なプロモータamyBプロモーターの下流に制限酵素遺伝子であるtaqIを搭載したベクターを作製し、A. nidulansに導入した。得られた遺伝子導入株について、注意深く観察しながら継代を行っていたところ、野生株とは全く異なる形態の株の出現を見出した。得られた株について、代謝分析を行ったところ、野生株とは異なる二次代謝プロファイルを示した。
次に、本現象を確かめるため、二次代謝に関するモデル糸状菌であるA. nigerを用いた検討を行った。A. nigerで利用可能なプロモーターであるamyBおよびenoAを用いてtaqIをA. niger内で発現させる形質転換株を作製し、それぞれ、数十の遺伝子導入株を取得した。それらについても、注意深く観察しながら、継代をおこなったところ、多岐にわたる形質変化株を得ることができた。この中には、野生株ではみられない、薬剤耐性菌に対する抗菌活性化合物の生産が誘導されているものもあった。今回、糸状菌に置いて、初めてTAQingシステムを利用する天然物創製法の可能性を示した。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-21K19324
ID情報
  • 課題番号 : 21K19324
  • 体系的課題番号 : JP21K19324