MISC

2016年10月

加齢性の骨格筋萎縮に伴う選択的スプライシング因子muscleblind‐like1の変化

日本理学療法学術大会(Web)
  • 中村文音
  • 中村文音
  • 大野善隆
  • 横山真吾
  • 江川達郎
  • 江川達郎
  • 鈴木美穂
  • 鬼村知子
  • 伊藤理香
  • 後藤勝正
  • 後藤勝正
  • 全て表示

51st
0
開始ページ
P‐KS‐25‐5(J‐STAGE)
終了ページ
KS
記述言語
日本語
掲載種別
DOI
10.14900/cjpt.2015.0624
出版者・発行元
公益社団法人 日本理学療法士協会

【はじめに,目的】加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)は転倒を増加させ,QOLを著しく低下させる要因であることから,サルコペニアを予防あるいは改善する方策の確立が望まれている。しかし,サルコペニアの発症機構は未解明であり,対抗策の開発には至っていない。近年,筋強直性ジストロフィー(DM1)が,サルコペニアと類似の骨格筋症状を呈することが確認された。さらに,DMマウスの骨格筋症状には選択的スプライシング因子であるMBNL1(muscleblind-like 1)が関与していることが示唆されている。MBNL1は骨格筋の生後発達に関与し,アセチルコリン受容体,ミオシン軽鎖キナーゼやカルシウム放出チャネルなどの筋細胞特異的タンパク遺伝子をスプライシングする。このMBNL1はCUG配列を認識することから,CUG反復配列を含む特定の塩基配列が増加すると,それに捕捉されて本来のスプライシング機能を果たせなくなる。DMマウスでは,筋核内へのMBNL1蓄積量が増加することにより,筋タンパク合成低下や分解促進などが惹起され,骨格筋萎縮が発症すると考えられている。しかし,加齢に伴う骨格筋萎縮におけるMBNL1の挙動に関しては不明な点が多い。そこで本研究では,加齢に伴う骨格筋萎縮におけるMBNL1の挙動について,筋線維タイプを合わせて検討する。【方法】生後10週齢C57BL/6J雄性(若齢)マウスおよび生後12ヶ月齢C57BL/6J雄性(高齢)マウスの足底筋および腓腹筋内側部を摘出した。即座に結合組織を除去し,筋重量を測定。液体窒素を用いて急速凍結し,-80℃で保存した。核分画と細胞質分画のタンパクを調整後,両分画におけるMBNL1のタンパク量を評価した。【結果】足底筋の筋重量は加齢に伴い有意に減少した(p<0.05)。腓腹筋内側部の筋重量には,加齢に伴う有意な変化は認められなかった。高齢マウス足底筋核分画のMBNL1は,若齢マウスに比べて有意に低値を示し,逆に細胞質分画MBNL1は高齢マウスで高値を示した(p<0.05)。一方,腓腹筋内側部の細胞質分画MBNL1では若齢マウスで高値を示した(p<0.05)。しかし,腓腹筋内側部の核分画MBNL1は,高齢マウスが若齢マウスに比べて高値を示す傾向が認められたが,有意な変化ではなかった。【結論】加齢に伴い骨格筋萎縮が認められた足底筋では,核分画MBNL1が有意に減少した。一方,加齢に伴う骨格筋萎縮が認められなかった腓腹筋内側においては,核分画MBNL1が有意に増加した。以上より,加齢性の骨格筋萎縮に伴い細胞内MBNL1の局在が変化し,その変化は筋タイプで異なることが明らかとなった。本研究の一部は日本学術振興会科学研究費(26350818,26560372)ならびに上原記念生命科学財団「研究助成」,内藤記念科学振興財団「内藤記念科学奨励金・研究助成」,豊橋創造大学大学院健康科学研究科「先端研究」の助成を受けて実施された。

リンク情報
DOI
https://doi.org/10.14900/cjpt.2015.0624
J-GLOBAL
https://jglobal.jst.go.jp/detail?JGLOBAL_ID=201602237143515600
CiNii Articles
http://ci.nii.ac.jp/naid/130005417695
URL
http://jglobal.jst.go.jp/public/201602237143515600
ID情報
  • DOI : 10.14900/cjpt.2015.0624
  • ISSN : 0289-3770
  • 医中誌Web ID : 2018149270
  • J-Global ID : 201602237143515600
  • CiNii Articles ID : 130005417695
  • identifiers.cinii_nr_id : 9000345413721

エクスポート
BibTeX RIS