症例は5歳男児で、半年前より右肘に皮下腫瘤が出現し、徐々に増大した。近医のCTで腫瘤部に一致して1×2cm程度の高吸収域を認め、診断目的に切除生検術が施行され、腫瘍は長径約1cmの青黒色であった。病理組織所見で、出血を伴う内壁を持たない偽嚢胞を認め、強拡大ではヘモジデリン顆粒を含むfibroblast-histiocyte様の細胞から成り、ヘモジデリン沈着もみられた。腫瘍の辺縁部ではリンパ球浸潤を伴う浸潤性の結節形成がみられ、免疫染色、蛍光in situハイブリダイゼーションの結果とあわせて類血管腫型線維性組織球腫と診断した。拡大手術を施行し、前医での縫合創から側方に2cmのマージンを取って筋膜下の深さまで切除し、炎症細胞浸潤を認めた直下の腱膜と筋体の一部を追加切除した。再建にはmiddle recurrent arteryを茎とした4×9cmの逆行性外側上腕皮弁を用い、全生着した。術後2年経過して再発・転移や肘関節可動域制限はない。