本書は日本語もよくわからないまま来日し、主に新潟で高校時代を過ごした「外国につながる子ども」だった若者たちのインタビューを編集したものである。本書では、大人になった元「外国につながる子ども」たちに当時を振り返ってもらい、どのように日本語を覚え、どのように学校生活を乗り越え、今に至ったか、などについて語ってもらった。また、今現在、言葉が通じない日本の学校で悪戦苦闘している後輩たちへのエールや、子どもを連れて来日したり、子どもを海外から呼び寄せたりする保護者へ向けた言葉も傾聴に値する。インタビュアーで、本書の編集者、佐々木香織は、新潟のボランティア団体「りてらこや新潟」の代表で、2009年から新潟で外国につながる子どもの学習支援や保護者の相談などを行ってきた。
本書は、カジュアルなインタビューでの会話であり、日本で生活する若い人が生活でよく使う話し言葉で書かれている。そして、すべての漢字にふりがながついているので、日本語をまだあまり勉強していない、漢字があまりよく読めない方にも読みやすくなっている。外国から来たばかりの中学生、高校生は、本書から日本でやっていくためのヒントがたくさん得られるだろう。また彼らの支援に携わっている方々、これから何かサポートしたいと思っている方にも必携の書である。本書には中国語版と英語版もあるので、日本語があまりよく分からない方には、そちらをお勧めしたい。