共同研究・競争的資金等の研究課題

2020年4月 - 2024年3月

原始的な無翅昆虫から解き明かす昆虫の変態の共通原理とその進化的起源

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(B)  基盤研究(B)

課題番号
20H02999
体系的課題番号
JP20H02999
配分額
(総額)
16,380,000円
(直接経費)
12,600,000円
(間接経費)
3,780,000円

本研究では、昆虫がどのようにして変態する能力を獲得したのか、という問いに答えることを目指し、昆虫の変態の共通原理とその進化的起源は何かを明らかにすることを目的とする。この目的のために、これまでほとんど研究されてこなかった無変態昆虫において、幼若ホルモンがどのような機能をもつのか、そして幼若ホルモン経路がどのように働くのかを明らかにする。2021年度の主な成果は以下の通りである。
(1)マダラシミにおけるMEKRE93 pathwayの機能解析: マダラシミにおける幼若ホルモンシグナリング機構、およびその役割を明らかにするために、MEKRE93 pathwayを担う遺伝子について、ノックアウト解析を進めた。このうち、幼若ホルモン受容体Metについては、注射当代において表現型を示す個体が得られなかった。しかし、ジェノタイピングの結果、G0集団の中にノックアウトアリルをもつ個体が多数存在していた。G0と野生型を交配することにより、G1世代においてノックアウトアリルを固定することができた。現在、G1世代同士を交配し、Metノックアウトマダラシミ系統の樹立を進めている。Metノックアウト系統の解析により、幼若ホルモンの祖先的な役割、異質形成における役割、祖先的な幼若ホルモンシグナリングについての重要な知見が得られるものと期待される。
(2)マダラシミの卵巣発育機構:交尾、非交尾メスの卵巣発育過程について詳細な観察を行い、卵巣発育が交尾(精包の受け取り)に依存してダイナミックに変化することを見出した。交尾刺激に応答して成虫の内分泌環境が大きく変化することを示唆しており、今後、上記のノックアウト系統の解析も含めることにより、無変態昆虫の成虫期における幼若ホルモンの役割を明らかにすることができるものと期待される。

リンク情報
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-20H02999
ID情報
  • 課題番号 : 20H02999
  • 体系的課題番号 : JP20H02999

この研究課題の成果一覧

論文

  1

講演・口頭発表等

  2