2018年4月 - 2021年3月
昆虫の光周性の分子・神経機構:概日時計と日長測定
日本学術振興会 科学研究費助成事業 基盤研究(B) 基盤研究(B)
【ホソヘリカメムシ】
短日で飼育した成虫の頭部を短日または長日で培養し、両者の遺伝子発現を比較した結果、ある遺伝子の発現が長日で有意に高くなることを見出した。これはからだの他の部分から切り離された頭部のみで、光受容から遺伝子発現の違いに至るまでが完結する光周性である。一方、頭部の培養系にClock遺伝子の一部に対応する2本鎖RNAを加えることによって、同遺伝子の発現量を十分の一にまで抑制することができた。すなわち、頭部の培養系でRNA干渉によって遺伝子発現を抑制することが可能なことが確かめられた。また、培養条件ではなく短日で飼育した成虫を短日のままにおいたものと長日に移したものの頭部で遺伝子発現を比較したところ、幼若ホルモンの合成酵素の一つであるMethyl Farnesoate Epoxidaseの発現が長日に移した場合に有意に高くなることが明らかになった。頭部の培養系で発現に差がみられた遺伝子とMethyl Farnesoate Epoxidase遺伝子の発現は、この虫の光周性においてこれまでわかっているなかでも、ごく早い段階で違いがみられるものである。
【カイコガ】
母親が胚期および幼虫期に経験した光周期によって子世代が休眠に入るかどうかが決まる江淅系統において、TALENにより時計遺伝子periodをノックアウトした系統を2系統作製した。片方はエクソン7において8塩基が欠損しているものであり、もう片方は13塩基が挿入されているものである。後者では挿入された部分に終止コドンが含まれているため、PERIODタンパク質が極端に短くなっていると推定される。また、カイコガPERタンパク質のポリクローナル抗体を作製して幼虫の脳を染色したところ、脳間部を含め4領域にPER陽性細胞が観察された。
短日で飼育した成虫の頭部を短日または長日で培養し、両者の遺伝子発現を比較した結果、ある遺伝子の発現が長日で有意に高くなることを見出した。これはからだの他の部分から切り離された頭部のみで、光受容から遺伝子発現の違いに至るまでが完結する光周性である。一方、頭部の培養系にClock遺伝子の一部に対応する2本鎖RNAを加えることによって、同遺伝子の発現量を十分の一にまで抑制することができた。すなわち、頭部の培養系でRNA干渉によって遺伝子発現を抑制することが可能なことが確かめられた。また、培養条件ではなく短日で飼育した成虫を短日のままにおいたものと長日に移したものの頭部で遺伝子発現を比較したところ、幼若ホルモンの合成酵素の一つであるMethyl Farnesoate Epoxidaseの発現が長日に移した場合に有意に高くなることが明らかになった。頭部の培養系で発現に差がみられた遺伝子とMethyl Farnesoate Epoxidase遺伝子の発現は、この虫の光周性においてこれまでわかっているなかでも、ごく早い段階で違いがみられるものである。
【カイコガ】
母親が胚期および幼虫期に経験した光周期によって子世代が休眠に入るかどうかが決まる江淅系統において、TALENにより時計遺伝子periodをノックアウトした系統を2系統作製した。片方はエクソン7において8塩基が欠損しているものであり、もう片方は13塩基が挿入されているものである。後者では挿入された部分に終止コドンが含まれているため、PERIODタンパク質が極端に短くなっていると推定される。また、カイコガPERタンパク質のポリクローナル抗体を作製して幼虫の脳を染色したところ、脳間部を含め4領域にPER陽性細胞が観察された。
- ID情報
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- 課題番号 : 18H02478
- 体系的課題番号 : JP18H02478
この研究課題の成果一覧
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論文
1-
Cell and Tissue Research 385(3) 571-583 2021年5月6日 査読有り責任著者