共同研究・競争的資金等の研究課題

2017年4月 - 2020年3月

内的なゆらぎを駆動力とする効率的な学習システムの構築

日本学術振興会  科学研究費助成事業 基盤研究(C)  基盤研究(C)

課題番号
17K00338
体系的課題番号
JP17K00338
配分額
(総額)
4,550,000円
(直接経費)
3,500,000円
(間接経費)
1,050,000円

まず研究分担者によって記録された海馬CA1領域の錐体細胞に関する自由行動下での自発神経活動データの解析を進めることで、学習前後や恐怖記憶消去前後を含む多様な文脈での、多数の神経細胞の活動の特徴を明らかにすることに成功した。特にいくつかの神経細胞について、場所依存的な発火活動が示されることを確認し、その空間依存性が、学習前後やケージの差異など様々なコンテキストに応じて変化することの確認に成功した。さらに、神経活動の内的なゆらぎに立脚して進行する学習則の検討を進め、既存の学習アルゴリズムと比べて、生物学的な妥当性が極めて高く、さらに効率的でもある新たな学習則を発見することに成功した。この学習アルゴリズムは、脳内で観測されるシナプス可塑性の特徴を極めてよく説明するほか、脳内で実験的に報告されてきた様々な現象を整合的に説明することができる。また神経細胞の特性について実験的に検証可能な予言も提供するため、今後その妥当性を実験的に検証することも可能になると期待できる。さらに近年主に利用されている既存の学習アルゴリズムである誤差逆伝播法などと比較して、極めて簡易に実装することが可能であり、機械学習への応用を含む展開の可能性も極めて高いと考えられる。特に、画像認識等の機械学習をチップやデバイス上で実行させる際には、今回発見した学習アルゴリズムが既存のアルゴリズムに比較して、実装上極めて有利に働くと期待できる。

リンク情報
URL
https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-17K00338/17K00338seika.pdf
KAKEN
https://kaken.nii.ac.jp/grant/KAKENHI-PROJECT-17K00338
ID情報
  • 課題番号 : 17K00338
  • 体系的課題番号 : JP17K00338